芸能界で活躍している方が「実はパニック障害なんです」と公開することが増え、一般的な認知度が高くなってきましたね。
これはパニック障害を持つ人々にとっては、大変嬉しいことです。
なぜならやはり、人気と知名度がある方が公表されることで、どんな病気かと興味を持って調べる方が増えるからです。
現在ではどちらかと言うと脳障害であると判断されつつありますが、効果があるのは抗うつ剤ですし、診断されるのは心療内科や精神科です。そのため、偏見や誤解も多々あります。
私は幸運なことに、病気が原因で誰かから嫌な言葉を投げかけられたことはありません。しかし、周囲の人の理解を得られず「仕事に行けないなんてただのワガママでしょ」とか「頑張りが足りない」などと言われる方も多いようです。そんなことを言う方に限って、どんな病気なのかの内容をちっとも知らないことが多いですね。ですので有名人が公表することで、ぜひ知る機会をもってほしいのです。
では実際にパニック障害ではどんな症状が起こるでしょうか?もしかしたら自分も…と思っている方は、いくつ当てはまるかチェックしてみてくださいね。
目次
*パニック障害の症状とは?
パニック障害とは、何度もパニック発作を起こしてしまい、その後は発作が起きるのではという不安や恐怖に襲われるという病気です。不安や恐怖があまりにも強いために、「死んでしまうのではないか」と考え、体に大きな影響が出てしまいます。
何が不安や恐怖の対象となるかは人によって違うこともありますが、以下が一般的な症状です。
- 動悸や心拍数の増加
- 発汗
- 全身の震え
- 息切れ感や息苦しさ
- 胸痛や不快感
- 吐き気や腹部の不快感
- 悪寒や熱感
- めまい
- 現実喪失感
- コントロールが出来ない、もしくは気が狂うかもしれないという恐怖
- 死ぬことへの恐怖
この内4つ以上を感じることがあれば、病院でパニック障害だと診断されます。
全部を感じる人もいますし、いくつかだけの人もいます。私の場合は発汗と吐き気以外の全部ですね。何であっても嫌だし不快ですが、なんつったってめまい以下の全部は地獄です。
強烈なのが、現実喪失感でしょうかね。乖離状態といいますが、「自分」が肉体からす~っと離れて、ちょっと離れたところから見ているような感覚です。人と話していたり、歩いていたりするときに急にそのような状態になると、「自分」は二度とあの体に戻れないのではないか?!と非常な恐怖が襲います。
今話しているのは紛れもなく自分、私なのですが、他人が話しているように感じるんですよね。まるで他人事のように、「話している自分」を認識しています。ココロとカラダが分離した、そう感じたものでした。
そして、多くのパニック障がい者が苦しむのは「広場恐怖」です。次で説明しますね。
*困難到来!広場恐怖とは?
パニック障害の3大症状と呼ばれるのは、次の3つです。
- パニック発作・・・動悸や窒息感、震えやめまい
- 予期不安・・・また発作が起こるかもという不安
- 広場恐怖・・・以前発作が起こった場所に行けない
発作や予期不安も勿論困るのですが、社会参加を大きく阻むものが広場恐怖でしょう。広場恐怖についての記事は、以下をご覧ください。
広場恐怖はなぜ起こる?
一度パニック発作を経験してしまうと、広場恐怖が芽生えます。また同じ場所に行ったとき、以前の強烈な恐怖や発作を思い出してしまうため、そこを避けるようになるのですね。
たとえば、「すぐに逃げられない場所」や「発作が起こったら恥ずかしいと思う場所」、そして「誰にも助けてもらえないだろうと思う場所」です。具体的には銀行や病院、学校、市役所などの公的な施設、美容院や観光施設などの閉所もしくは高所(つまり、高層ホテルやビルもダメ)に不安を感じる方が多いです。公共機関も無理ですね。特に急行や特急などに乗ってしまうと途中で降りれずに「逃げる」ことができないため不安が強くでますので、多くのパニック障害の方は各駅停車を好みます。
このような発作が起こると困る!と思う場所が増えていくことで、どんどん行動範囲が狭まるのですね。以前は行くことができたお店に入れない、何とも思わなかった電車が怖い、リッチな気分になれていたホテルの高層階の部屋には泊まれないってことになっていきます。
私は現在、ほぼパニック発作は起きていません。自宅で仕事もできているため割合好きに生きてますが、単独で外出できないのはこの広場恐怖のせいです。
電車が怖い(仕事に行けない)
バスが怖い(買い物にも行けない)
美容院で座っていられない(特にシャンプーのときが怖い)
銀行で順番を待てない(横断歩道を待つのも苦痛)
プールの更衣室には3分もいられない(外が全く見えない上に裸になる)
大勢の人がいる場所には行けない(ここで発作が起きたらどうしよう)
だけど誰もいない場所にも恐怖がある(同上)
そんな状態です。めちゃくちゃ困ります、これ。
私が発症したのは子供がまだ二人とも保育園児だったときなので、母である私が原因でプールや海へ家族で泳ぎにいけない、というのは本当に悲しかったです。苦手な対象は人によって変わり、飛行機はダメだけどバスならOKという人もいれば、乗り物は全部無理という方もいます。
現在の私の場合は、病気を知っており万が一でもすぐに対応してくれる家族が一緒にいることで、抗不安剤(お守りの頓服)がなくとも外出は出来ています。だけど飛行機には乗れないですね。1度乗ってしまったら「怖いから降りる!!」てわけにはいかないですからね、飛行機は。しかも自分がパニックを起こすことで周囲に迷惑をかけてしまう、という事にも不安を覚えます。自分のせいで飛行機が飛ばなかったらどうしよう…!みたいなことまで考えて、勝手に不安を大きくし、発作を誘発してしまうのです。
美容院にももう5年は行ってません。髪は自分で切って染めています。最初の数年は面倒くさくて、しばらくは貞子状態でした。
※髪染めの記事です↓
一時かなり回復して一人でスーパーへ買い物にまで行けるようになった時期もあったのですが、そこからどーんとぶり返しがやってきて、以前より酷い状態になってしまいました…。
※ぶり返しの記事です↓
パニック障害になって6年、その後悪化して単独で行動できなくなって3年経ちますので、今では一人で行動できていたころが思い出せなくなりつつあります(元気なときには、1人で海外も行ってたんですが)。
このように患者の世界をあっという間に縮めてしまうのが、広場恐怖です。
*項目が複数当てはまる人は注意!
パニック障害を持つ人は、見た目はいたって普通です。不安がないときは普通に会話もできますし、冗談もいえばふざけていたずらをしたりもします。美味しいものを食べれば美味しいと喜びますし、趣味にも没頭できます。
だけど突如不安に襲われた結果、いきなり震えだしたり何かに怯えてその場から逃げ出したり過呼吸になったりします。本人はそのとき死ぬかもしれないと思うほどの激しく壮絶な不安と恐怖に襲われているので本気で怯えており、見ている者も「これはマジだ!ヤバイ!」と感じてとても焦ります。
しかし実際には体はどこも悪くありませんので、10分ほど我慢すれば発作が終わって元に戻ります。ただし、そのときのこと(恐怖や不安、自分が人からみてどんな状態だったか)を忘れることができず、行動範囲が狭まってしまうのです。
慢性化してしまうと改善していくのは中々難しいケースが多いので、症状の項目に4つ以上当てはまった方は、まずは心療内科か精神科を受診してください。カウンセリングや投薬、行動療法の開始など、早めの対応がのちの自分を幸せにしますよ。
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