パニック障害歴もそろそろ9年になる私ですが、調子にはやはり波があります。
それも緩やかな小波ばかりではなく、たまにはバーンとでっかい波に襲われてきました。
ええ、もうそれは巨大で真っ黒なやつに。
今回は、そんなぶり返しのお話です。
ぶり返しとは何か、その後どうなるのか、そして理由などを書いていきますね。
目次
*ぶり返しとは?
ぶり返しとは、「一度よくなりかけていた病気・季候・事柄などが再びもとの悪い状態になる」ことです。
パニック障害でも、これがあります。
波に例えられることが多いかもしれません。
通常、パニック障害になってからは現実を少しずつ受け入れながら服用や休養をとって過ごしていると、徐々にではありますが改善します。
悪化の一途をたどるだけってことはないと思いますよ。
いつかは底につくので、そこを耐えればあとは浮上となります。
医師の指示に従って薬をきちんと飲み、出来るだけ健康に気を付けていれば、進みはちょーっとかもしれませんが必ず改善はするでしょう。
- あ、よく考えたら私、この3か月発作が起きてない。
- あ、そういえば私、この半年頓服は飲んでない。
- ああ、そうだ私、近頃一人で外出出来てる!!
そんな風に少しずつできることが増えていき、調子の良い日も増えていき、発作の恐怖から遠ざかっていることにある日突然気づくことがあります。
私はそうでした。
体力が戻るにつれて外出の不安がなくなり、人と話しても疲れて倒れることがなくなり、1日に予定を複数いれても不安になることがなくなってきたんですね。
そして、以前は難しかった単独での買い物にまで行けるようになったのです。
自転車で行けること・レジが混まない店という条件つきではありましたが…。
やった、このまま行ったらうち、もう外で働けるんちゃうん!( *´艸`)✨
喜びましたよね。
家事もできるようになっているし、学校行事に参加して以前のようにママ友と話せるようになった、と。
だけど来たんです、暗黒の巨大な荒波が。
それが「ぶり返し」です。
ぶり返しが来るとどうなる?
ぶり返しがくると、以前よりも状態が悪化します。
私の場合はパニック障害発症してすぐから広場恐怖はありましたが、ママ友と話したり頓服を飲みさえして気が紛らわせていれば、単独でもある程度行動ができていました。
人が多いところは苦手だし呼吸が苦しくなりますが、まあ耐えられなくはないという程度。
随分回復したこともあり、薬はその当時、減薬の最終段階。
1日に1錠飲んだら翌日は飲まず、また1錠飲んで翌日は飲まない、と2日に1回1錠摂取にまで減っていました。
もうあとは断薬となる状態まで来ていたのです。
ところがパニック障害を発症して6年目の初夏、巨大で強烈なぶり返しに襲われました。
それ以来、単独では家の敷地内から一歩も出れなくなってしまったのです。
前より悪くなっちゃったよ!(´;ω;`)
その事実がとてもつらかったですね。
病院や学校、美容院や銀行など、それまでは用事があれば1人でも行けていた場所が全滅でした。
心療内科の通院もそれまでは単独で出来ていたのですが、3年前の初夏を境に夫や親の付き添いが必要に。
急激にすべてのものを刺激として受け取るようになり、窓の外に見える新緑を見ることもできなくなりました。
生命力にあふれているものは、刺激になるんですね。
気持ちが負けて見ることができません。
たとえば無理にでも窓の外へ目を向けて揺れる緑を見ると、眩暈や動悸に襲われ倒れてしまいます。
ただし、パニック障害を発症した当時のように体力ゼロというわけではなかったので、家族の付き添いと頓服があれば、一応外出して複数の予定をこなすことはできました。
そこは以前とは違いますね。
1人で行っていた日課の散歩もできなくなり、調子が悪いとお風呂にも1人では入れなくなりました。
途中で不安感に襲われるんです。
頭や体、顔を洗っていて視界が塞がれていたり、少しのぼせ気味になってしまったりすると。
そのとき我が家の子どもらはどちらも小学生になっていたので、母親に外出予定があればついてきてくれます。
私のために彼らの都合が優先されず、本当に申し訳なかったです。
友達と遊びたいのに、お母さんが郵便局に行かなきゃならないからって付き添いに戻ってくれるんですよ。
大丈夫だよーと言ってはくれますが、毎回辛かったですね。
うつ状態にもなりますので、食事は砂の味、気力がわかずに何もできなくなります。
一度良くなっていただけに、この状態が非常に堪えました。
春先に20度ほどまで温かくなった日が続いたあとに、花冷えがきて気温がぐーっと下がってしまったとき、体に堪えますよね、一度温かくなってるから。
ぶり返しはそれに似ています。
すごい絶望感。
どうやらぶり返しにあったとき、あまりの絶望に負けて自殺してしまうという患者さんも多いようですね。
ぶり返しは完治の前兆?
一部では、ぶり返しは完治の前兆だと言われています。
人間は慣れる生き物ですから、パニック障害に慣れてしまったあと良い状態の方向へと進むと、慣れた「悪い状態」を維持しようとして起こすのではないか、とかね。
いろんな説があります。
実際になぜぶり返しが起こるのかの理由は、研究はされていますがまだわかっていません。
しかし、調子に波があるのは回復期にいる証拠です。
私の担当医は「夜明け前が一番暗いんだよ。ぶり返しは、その真っ暗なときに似ている。これを乗り越えたら、君は治るよ」と言ってくれました。
当時はその言葉にすがり、これが最後の苦しみだ、と思うようにしました。
大丈夫だ。
もうすぐ夜明けがくる。
今はじっと耐えよう。
そう思っていました。
ぶり返しが起こったらすべきこと
これはぶり返しだと思ったら、治療レベルをスタートしたばかりの状態に戻しましょう。
まずは医者へいき、現状を報告して相談することです。
強烈なぶり返しが来たあと、私はとりあえず減薬していた薬を以前の量に戻し、禁酒も再開して忍の一文字。
家でストレッチや筋トレ、冷え取り法、瞑想など出来ることをして、もうすぐ良くなる、もうすぐ良くなる、と唱えていました。
私がしている健康法は、この記事で確認できます。
よろしければどうぞ。
おすすめなのは、呼吸法を学ぶこと、考え方をじっくりと観察することです。
呼吸法は、ヨガや柔道・空手などの武道をしていた方はよくわかると思います。
特にパニック障害の人は過呼吸を起こしやすく、小さく浅い呼吸を短期間に繰り返します。
これでは心身は落ち着きませんので、腹式呼吸をしてしっかりと息をすることから学んでください。
やり方は結構簡単。
まずお腹がぺたんこになるまでゆっくりと細く息を吐き、体内の息を最後まで吐ききります。
唇に吐く息の流れを感じながらするとうまくいきますよ。
完全に吐ききったら、自然に鼻から空気を入れてください。
これを繰り返す内に、不安がしずまり落ち着いてくるはずです。
そして自分の考え方を観察してみましょう。
人の考え方には癖があり、パニック障害を含め不安障害をもつ方の多くは、取り越し苦労をしています。
自分が考えたアレコレは、ほとんど実現しないのだ、ということを認知する必要があります。
何かを不安に感じだしたらすぐさま「でも前も結局大丈夫だった。今回も大丈夫だわ」と強く思い込みましょう。
不安は自分で起こしているので、それを打ち消す練習をしてくださいね。
*家族はどうすべきか
パニック障害を持つ方が家族にいたら、心配だしどうすればいいかと悩むことも多いですよね。
特に良くなってきたなと感じていたときに来るぶり返しでは、「また最初からやり直し!? 」と家族も絶望を感じるでしょう。
患者の中にはしばらくなかった発作を頻発し、ご飯を食べなくなりお風呂やトイレに一人で入れなくなる人もいます。
そのとき家族ができることは、寄り添いです。
本人は、大都会で迷子になってしまった5歳くらいのこどもと同じ状態。
不安と恐怖に押しつぶされそうになっていて、圧倒的な孤独を感じて怯えて泣いています。
自分が狂っていくような感覚に囚われ、どこに行けばいいか、何をすればいいのかが分からず、一体自分はどうなってしまうのかと途方に暮れて怯えているのです。
隣にいて、手をさすってあげてください。
話を聞いて不安を打ち消し、水を飲ませ、一緒に呼吸をしてください。
その内に落ち着いてきます。
ただし、自分まで引きずられると思ったときには躊躇なく離れてくださいね。
共倒れになることは患者も望みません。
まずは自身の健康を守り、パニック障害の家族を見守ってほしいなと思います。
*ぶり返しを耐えれば光にあふれる
実際に大きなぶり返しを経験したあと、ぐんぐんと回復して薬も手放せた! という人もたくさんいるようです。
ブログにはいろんな方が書いた経験記がありますよ。
ぜひ探してみてください。
きっと希望がわいてきます。
私はまだ、1人で外出できるまでは回復していません。
近所の郵便局であれば自転車でいけるようになりましたが、ATMに人が並んでいたらすぐさま帰ってきます。
だけど、自宅が見える範囲であれば散歩も1人でいけるようになりましたし、冬の間は安定してほぼしんどくはありません。
新緑を見れば奇麗だと感じるし、人と話しても倒れなくなりました。
1年半は発作にも見舞われていませんし、睡眠の質も上がっています。
だから今、「あ、これがぶり返しか!」と苦しんでいる方は、覚えていて欲しいんです。
ぶり返しは、最後の暗闇であるってこと。
その闇は、走って振り切るだけなんです。
この場合の走って振り切るとは、何も考えずにただ息をして今だけを見ることです。
「なぜ」とか「どうして」とか、考えても仕方ないことは無視しましょう。
ただじいっと今だけを見て時間をすごしてください。
1番やっちゃいけないことは、自ら死を選ぶこと。
今まであんなに苦労して戦い、何とか命を守ってきたのです。
もう少しですから、何としても生きましょう。
人によりますが、ぶり返しが来たのだと受け入れて大人しくしていれば、1カ月ほどで気持は落ち着いてくるようです。
私はそうでした。
最初は悪化を受け入れられず、何もできなくなってしまった自分を憎みましたが、3日くらいで諦めることにしました。
自分に怒っても仕方ない。
今は耐えよう、そう考えだしてから、症状はよくなったと思います。
心療内科や精神科では、電話による相談も受け付けているはず。
潰れそうだと思ったら、担当医に電話をしましょう。
必要なら薬を飲み、自分が沼に沈まないようにしてくださいね。
少しでもみなさんが、不安から抜け出せますように。
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2022年1月追記
ぶり返しを経験してから4年が経ち、現在は一人での散歩ができるまで戻っています。
電車も家族の付添が必要ですが、安定剤なしで乗れるように。
亀ペースではありますが、改善してきていますよ。
いつか抜け出せると考え、つらいときはゆっくりと休んでくださいね。