パニック障がいは書いて字の通り、パニックを起こす障がいです。
かかる病院の種類としては精神科・心療内科ですが、最近では研究がすすみ「心の病気」というよりは「脳の障がい」と言われていますね。
常に緊張状態にあり、ちょっとした刺激、普通の人はなんとも思わないような刺激で緊張の糸が切れて発作を起こします。
人によって症状は違いますが、多くの場合「自分はこのまま死んでしまうのではないか」という凄まじい恐怖や孤独感によって、過呼吸・呼吸困難・強い動悸・眩暈などを起こします。
つまり、発作が起こらないようにするには、「リラックスして穏やかな気持ち」でいることが大切なんですね。
…何よりも難しいのがリラックスなんだけど。
そこで登場するのが「自律訓練法」。
名前は難しいですが、要は「リラックスする方法」ですね。
これを習得できれば、いつでもどこにいても自分でコントロールしてリラックスを得られます。
ここでは自律訓練法について、効果ややり方、行ううえでの注意点などを紹介していきますね。
- *自立訓練法とは
- *自律訓練法の準備とやり方
- *自律訓練法の効果
- *自律訓練法で医師の指導が必要なのはなぜか
- *自律訓練法を習得するには長い時間がかかる
- *気軽に取り入れて継続していこう
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*自立訓練法とは
自律訓練法は、1932年にドイツの精神科医であるヨハネス・ハインリヒ・シュルツさんによって創始されました。
自己催眠法・リラクゼーション法です。
いろんな意味で自己催眠は最強ですよね。
精神病の改善に対してだけではなく、一流のアスリートやビジネスマンもストレスケアに使っています。
素晴らしいパフォーマンスをするためには、適度な緊張とリラックスが必要なのでしょう。
自律訓練法には複数の方法がありますが、以下3つが代表的な訓練です。
- 標準訓練・・・全部で7つの公式があり、自分でできるものと医師の指導が必要なものがある。
- 特定器官訓練・・・体の特定の器官の緊張を取り除くことができる。基本的に医師の指導が必要。
- 意思訓練・・・自分の意思によって症状が再発しないようにする。基本的に医師の指導が必要。
この3つの中で、基本は「標準訓練」です。
標準訓練は自分でもできるうえ、医師の指導が不要というのがメリットですよね。
まずはこれを習得し、自分で好きなときにリラックスを得られるようになりましょう。
*自律訓練法の準備とやり方
では、自律訓練法のやり方を紹介します。
慣れるまでは環境などの準備が必要ですので、順に説明しますね。
準備
- 体を締め付けない楽な服装になる
- 暑くも寒くもない場所を選ぶ
- 静かな場所で仰向けに横たわる
おすすめなのは、夜眠る前に寝室でやることです。
パジャマは体を締め付けない楽な服装ですよね。
さらに寝室は静かで仰向けに横たわる場所もありますので、最初はベッドで行ってみてください。
やり方
1、背景
自分でリラックスした状態を作っていきます。
まずは「気持ちがとても落ち着いている」と心の中で何度も繰り返しましょう。
頭の中では、舞い落ちる木の葉、穏やかな波の音、縁側に干している布団の上でお昼など、リラックス状態の自分を思い浮かべます。
自分が穏やかな気持ちになれるイメージを思い浮かべてください。
2、手足が重たい
穏やかなイメージを思い浮かべ、落ち着いていると自分への言い聞かせを繰り返して気持ちの和らぎを感じたら、続いては手足の重さを感じる過程です。
まずは自分の利き腕に意識を集中させましょう。
利き腕が右手なら「右手が重たい」と心の中で呟きます。
本当に右手が重たく感じるまで、ゆっくりとそれを繰り返し言い聞かせていきます。
右手が重たくなってきたら、次は同じように左手が重たいと心で呟いてください。
左手の後は右足、左足の順番で同じことを繰り返します。
3、手足が温かい
手足が重く感じたら、次は手足が温かいと感じる過程です。
重たく感じるのと同じく、利き手から始め、反対側の手、利き足、反対側の足と順番にやってきます。
全身が重くだるく温かさを感じてきたら、全身がリラックスしている状態です。
標準法は、実際にはまだ続きがあります。
しかし医師の指導なく誰でもやっていいというレベルはここまでです。
この時点で既に高レベルでのリラックス状態になっているはず。
そのため、そのままで日常生活に戻ろうとすると危険です。
ぼーっとしたままでいろんなことをするとケガをする恐れがあったり、すっきりせずに1日が無駄になってしまったりする可能性も高いでしょう。
ですから、必ず「消去法」も行ってください。
消去法
消去法のやり方です。
- 両手をグーパーと閉じたり開いたりを繰り返す
- 寝た姿勢のままでぐーっと大きく伸びをする
- 深呼吸を行う
これで終了です。
深いリラックスを得たあとに、すっきりとした頭で目覚めることができるでしょう。
*自律訓練法の効果
では、自律訓練法にはどんな効果があるでしょうか。
「リラックスを得られる」の具体的な中身を紹介しましょう。
精神面での効果
- 穏やかな気持ちになる
- イライラや不満が消える
- ストレスに強くなる
- 集中力がアップする
身体面での効果
- 体が温まり新陳代謝を活発にする
- 全身の血行が良くなる
- 血圧が安定する
- 疲労回復
ストレスに強くなり、疲労回復を促進し、気持ちが穏やかになるのですね。
ハッキリいって、これを習得したら最強でしょう。
パニック障がいだけでなくうつ病や不安症のかたもかなりの症状改善がのぞめるはずです。
*自律訓練法で医師の指導が必要なのはなぜか
「標準訓練」の「背景」・「手足が重くなる」・「手足が温かくなる」までは自分でできる、と前述しました。
そこで十分にリラックス状態にはなっていますので、消去法を行ってから終了します。
しかしこの先にはまだ「心臓が静かに脈打っている」「楽に呼吸をしている」「お腹が温かい」「額が涼しい」と訓練が続きます。
実はこの4つの訓練は、医師の指導・監督がのぞましいとされているのですね。
その理由は、実行者が深い催眠状態に入ってしまいノーガード状態となること、さらに持病を持つ人の場合は悪化する可能性があることからです。
深い催眠状態に入ってしまえばちょっとやそっとの刺激では目覚めず、自力で抜け出せないこともあります。
医師による監督・適切な処置が必要となるケースは多いでしょう。
そして持病を悪化させる可能性ですね。
以下に注意を紹介します。
・「心臓が静かに脈打っている」
心臓疾患を抱えている人は、緊張がほぐれず逆効果になる可能性がある。
・「楽に呼吸をしている」
喘息など呼吸器に疾患を持っている人は、発作を誘発する可能性がある。
・「腹部が温かい」
胃潰瘍や胃炎など、お腹に不安を抱えている人は症状を悪化させる恐れがある。
また、妊娠中の人は妊娠中毒症を起こす可能性も指摘されている。
・「額が涼しい」
頭痛やてんかんを持つ人は、これによって不安感がかきたてられることがある。
心臓や呼吸器の疾患がなく、妊娠中でもない人、頭痛などの持病がない人は最後までやっても問題ありません。
しかし「手足が温かくなる」までで十分なリラックス効果を得られるため、まずはそこまでをしっかりとできるようになってくださいね。
*自律訓練法を習得するには長い時間がかかる
最初から、この自己催眠を一発でできる人間はいません。
自律訓練法をする多くの方は常時強い緊張を持っていることが一般的。
特に緊張が原因で何らかの症状があって悩まされている方は、リラックス状態に入るまでにかなりの訓練回数が必要です。
もちろん個人差もありますが、訓練を始めて1カ月が経っても手足に重さを感じることができない人もいます。
そんなときには焦ってしまいますよね。
これさえ習得すれば楽になれるのに! と考えると、イライラすることもあるでしょう。
しかし、自律訓練法の目的はリラックスです。
焦りは禁物。
イライラするくらいであれば、ひとまず中止してスマホでも見ながら寝転がっておきましょう。
そしてまた気持ちが落ち着いたらトライしてください。
いつかは必ずできるようになります。
そのときには、ちょっとやそっとのストレス・刺激などには負けない強い心と体を手に入れているはずですよ。
*気軽に取り入れて継続していこう
実は、私もまだ習得していません。
仰向けになって手足が重くなる、というところまでは大丈夫になったのですが、温かくなる、がなかなか実感できません。
ときにはそのまま眠ってしまい、ハッと飛び起き急いで日常生活に戻ったため、消去法をしておらずふらふらになってしまったり…。
たくさん失敗しています。
だけど、やっぱりパニック障がいを治したい。
昼間ではなく夜眠る前にベッドに寝ころんで試し、そのまま眠るのは良いらしいので、日課にしてしまうのも良いですよね。
ただしアルコールを飲んだ夜にはおすすめしません。
そして私は夜によくアルコールを楽しみますので、訓練が続かないのでしょう。
だけどめげずにやっていきます。
リラックスして強い心身を手にしたい方は、ぜひ自立訓練法をやってみてくださいね。
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