女性も当たり前に働くようになり、さまざまな働き方が増えていますね。
しかし税金的にも保険的にも夫の扶養に入っていた方が良いと考えたとき、妻がフリーランスである場合は夫の扶養に入れるのでしょうか?
ここではフリーランスになる場合、「配偶者の扶養に入るか否か」問題について説明していきます。
扶養に入るメリット・デメリットや、どのくらいの稼ぎがあれば家計的に減収とならないかについても紹介しますね。
- *フリーランスも配偶者の扶養に入れます!
- *フリーランスが扶養に入るメリット・デメリット
- *知っておくべき言葉「所得」とは?
- *配偶者控除と配偶者特別控除
- *社会保険で夫の扶養に入るときに確認すべきこと
- *専業主婦からフリーランスへ! 会社の扶養手当はどうなる?
- *結局扶養範囲内で損をしない年間収入は?
- *フリーランスなら青色申告をすべき
- *フリーランスでも夫の扶養に入れる! さまざまな特典を受けよう!
- *こちらもどうぞ
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*フリーランスも配偶者の扶養に入れます!
結論から述べますと、フリーランスで働く方も配偶者の扶養に入れます。
逆の家庭もありますが、我が家の場合は夫が会社員で、妻の私がフリーランスです。
一言で「扶養」と言っても、実際には税法上の扶養か社会保険制度上の扶養かで範囲や基準は違います。
どちらも税金の控除を受けられるという意味では同じですが、管轄が違うのですね。
- 税金の扶養・・・国税庁(財務省)
- 社会保険の扶養・・・社会保険庁(厚生労働省)
どちらの扶養範囲内にも入ろうとするなら、両方の基準を満たさなくてはなりません。
税金の扶養に入れば納税者(夫)の所得税や住民税が安くなりますし、社会保険上の扶養に入れば妻は厚生年金・健康保険・介護保険を負担する必要はありません。
*フリーランスが扶養に入るメリット・デメリット
フリーランスとなってバリバリと働き大きな金額を稼ぐ方がよいのか、それとも配偶者の扶養に入りほどほどの金額を稼ぐのがよいのか、悩む方もいるでしょう。
そのためここで、フリーランスが扶養に入るメリットとデメリットを紹介します。
メリット
最も大きなメリットは、扶養者(夫)が税金の控除を受けられるため、家計の負担が減ることです。
さらに社会保険の扶養にも入れば、妻は自分の保険料を負担する必要がありません。
また、扶養範囲内で働こうと思うと、必然的に労働時間が少なくなります。
そのため、家事や育児にも時間が割ける、ワークライフバランスが取りやすいというメリットもあります。
たとえば小さな子どもがいる場合、熱が出たときにすぐ対応し病院へ連れていけたり、習い事の送迎や学校行事への参加がしやすくなったりするのですね。
ある程度時間に余裕がある、これは本当に助かります。
デメリット
収入に制限がかかるため、働き方にも制限がかかってしまうことがデメリットです。
どんどん稼ぎたい・働きたいと考えるかたは、扶養内でいると不満がたまるばかりとなるかもしれません。
自分で国民年金や健康保険を支払っても手取りが増える結果になるのであれば、たくさん稼ぐ方を優先するのがよい場合もあります。
*知っておくべき言葉「所得」とは?
ここから続く文章を理解するために知っておくべきキーワードは、「所得」です。
所得・・・年収から経費を引いた金額
たとえばフリーランスとなって1年で150万円を稼いだとします。
つまり「年収」は150万円ですね。
しかし「所得」を出すには、この150万円から経費を抜かなくてはなりません。
経費とは仕事に必要で手に入れたモノやサービスの代金を指します。
仕事に必要なものを購入した費用、事務所の家賃や伝光熱費、仕事に使うスマホ代などを必要経費とし、それが1年で50万円あったとします。
すると所得は、150万円-50万円=100万円です。
そこからさらに所得控除(14種類)を引いて出した金額が、課税対象となる「課税所得」です。
たとえば青色申告を使う場合、さらに65万円を年収から引けますので、上記の条件では所得は以下のようになります。
年収150万ー経費50万ー青色申告控除65万=35万(課税所得)
住民税などは、この課税所得をもとに計算されます。
*配偶者控除と配偶者特別控除
パート主婦が働くときに出現する「103万円の壁」と巷で言われるものは、税法上の扶養の話です。
働き過ぎると税金を取られて手取りが少なくなり、働き損状態となってしまうのですね。
それを回避して税金の控除をしっかり受けるなら「103万円」以内に収める方がいいという話です。
ただしフリーランス、つまり個人事業主の方はパート勤めの方が受けられる「給与控除」はありませんので、実際には103万円の壁は存在しません。
その代わりに青色申告を使えば、その控除分「65万円」を年収から引くことができます。
配偶者(夫)の税金に最もメリットがあるのは、配偶者控除・扶養控除・配偶者特別控除を受けられるときです。
配偶者控除の条件とは
配偶者控除とは、扶養している配偶者がいれば適用される控除です。
以下の条件にすべて当てはまる方が、適用されます。
- 納税者と生計を一にしていること
- 内縁関係ではなく民法の規定による配偶者であること
- 青色申告者の事業専従者として一度も給与支払いをうけていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと
- 課税所得金額が48万円以下(パート給料収入のみであれば年収103万円以下)であること
参照:国税庁
たとえば、夫が年収500万円の会社員だった場合。
妻の稼ぎが毎月3万円、年間36万円の収入(所得)があるフリーランスであれば課税所得金額が48万円以下なので、配偶者控除を申告できます。
配偶者特別控除の条件とは
配偶者特別控除は、配偶者(妻)の所得が48万円~133万円以下である場合、受けられる控除です。
- 納税者(夫)と生計を一にしていること
- 内縁関係ではなく民法の規定による配偶者であること
- 青色申告者の事業専従者として一度も給与支払いをうけていないこと、または白色申告者の事業専従者ではないこと
- 納税者本人(夫)の課税所得が1000万円以下であること
- 配偶者(妻)は配偶者特別控除を適用していないこと(夫婦でどちらか1名しか適用できない)
参照:国税庁
配偶者(妻)がフリーランスで年間所得が48万円をこえた場合に「配偶者控除」から「配偶者特別控除」となるわけです。
ただし、控除額は夫の所得額と妻の所得額によって変わります。
配偶者の合計所得金額 | 控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | |||
900万円以下 | 900万円超 | 950万円超 | ||
950万円以下 | 1,000万円以下 | |||
48万円超 | 38万円 | 26万円 | 13万円 | |
95万円以下 | ||||
95万円超 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | |
100万円以下 | ||||
100万円超 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | |
105万円以下 | ||||
105万円超 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
110万円以下 | ||||
110万円超 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
115万円以下 | ||||
115万円超 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
120万円以下 | ||||
120万円超 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
125万円以下 | ||||
125万円超 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
130万円以下 | ||||
130万円超 | 3万円 | 2万円 | 1万円 | |
133万円以下 |
我が家(関目家)の場合、夫(納税者)の合計所得金額が900万円以下なので、私の合計所得金額を95万円以下に収めれば、夫は38万円の所得税控除を受けられるということになります。
*社会保険で夫の扶養に入るときに確認すべきこと
会社員である配偶者(夫)の社会保険の扶養に入るとき、注意すべきことがあります。
それは自分の年収のボーダーラインについて、配偶者(夫)の会社に確認をすること。
実は、健康保険法上では個人事業主の必要経費については記述がありません。
ですので、扶養に入れるかどうかは加入している保険組合によって考え方が違います。
一般的な保険組合では、フリーランス(妻)が得た1年間の収入から必要経費を引いた所得が130万円以内であれば扶養に入れます。
しかし一部の保険組合では、必要経費を考慮しません。
その場合、あくまでも1年間で得た収入すべてが年収として考えられてしまいます。
たとえば私がまさしくそうでした。
夫の会社が入っている健康保険組合の電話番号を調べて電話をしたとき、「年収でみます。130万円になったら扶養から外れます」と言われました。
私の場合、健康保険の扶養は年収でみられるため、どれだけ経費がかかろうとも年間の総収入が130万円を超えると扶養から外れてしまいます。
そして、国民健康保険ですね。これは誰でも平等に年収130万円を超えると扶養から外れます。
つまり私、関目いちこの場合、夫の会社の健康保険は年収130万円がライン、国民年金も年収130万円がラインなので、扶養でいたければ何としても1,299,999円以内に収入を抑える必要があります。
所得が130万以下なら大丈夫でしょ~と思っていたら、実は経費や青色申告控除額は使えず、年収そのものでみられてしまった!
結果、社会保険の扶養に入れず国民年金&国民健康保険に加入しなければならなくなった、というケースが実際にあります。
そうならないように、夫の入っている健康保険組合に電話をしてしっかり確認しておきましょう。
・ここまでのまとめ・
前提:納税者本人(夫)が年収900万円以下で、配偶者(妻)がフリーランスである場合。
①配偶者(妻)の年収が130万円以下
・税金の扶養に入れる
・社会保険の扶養に入れる
②配偶者(妻)の年収が130万円以上150万未満
・税金の扶養に入れる(夫の控除額は減る)
・社会保険の扶養
【健康保険】・・・所得(年収-経費)で判断する場合は所得130万円以内であれば扶養に入れる。年収で判断する場合は扶養から外れる
【年金】・・・年収が130万円を超えるので扶養から外れる
③配偶者(妻)の年収が150万以上の場合
・税金の扶養から抜ける(夫の税金控除がなくなる)
・社会保険の扶養
【健康保険】・・・所得で判断される場合は所得を130万未満に抑えれば扶養に入れる。年収で判断される場合は扶養から外れる
【年金】・・・年収が130万円を超えるので扶養から外れる
つまり、税金の扶養も社会保険(健康保険・年金)の扶養も両方確実に入りたいという場合は、年間収入を130万未満に抑える必要があります。
フリーランスには103万の壁はありませんが、130万円が巨大な壁となることを覚えておいてくださいね。
*専業主婦からフリーランスへ! 会社の扶養手当はどうなる?
会社によっては家族の扶養手当がお給料と一緒に出ていますよね。
毎月1万円とか2万円とか、決して安くない金額を貰っている家庭も多いでしょう。
会社の扶養手当は会社が独自に判断して社員への福利厚生として設けています。
ですから、支給基準は会社によって違います。
妻がパートでもフリーランスでも月に5万円以上の稼ぎがあれば手当はなし、という会社もあれば、税金の扶養ラインである103万円までなら扶養手当も出す、という会社もあります。
フリーランスで月に2万円稼いだ結果、夫の会社からの扶養手当分毎月1万円がけずられてしまえば、家計から見ると収入は上がっていても損をしています。
2万円分の労働が家計的には1万円分にしかプラスされていないからですね。
そうしたことがないように、会社の扶養手当の基準を担当部署に確認しておきましょう。
*結局扶養範囲内で損をしない年間収入は?
税金上の扶養と社会保険制度上の扶養は条件が違うことは理解いただけましたか?
実際に家計に影響する金額が大きいのは、社会保険制度上の扶養です。
社会保険制度上の扶養から外れてしまった場合、妻は自分で国民年金と国民健康保険料を支払わなくてはなりません。
ちなみに2022年現在、国民年金保険料と国民健康保険料の年間平均支払い金額は以下のようになっています。
- 国民年金保険料・・・年間約20万円
- 国民健康保険料・・・年間約4万円(年収130万円を超えたくらいと仮定)
つまり年間で合計約24万円ほど手取り金額から減ります。この約24万円を支払っても家計がプラスになる金額を、妻は稼ぐ必要があります。
そのため、夫の扶養内で働きたい方はやはり130万円の年収を超えないようにしてください。
逆に扶養を抜けようと思うのであれば、働き損ゾーンと言われる130万~150万(※)までの間を避け、年収160万円超えを目指しましょう。
できれば年収200万円を超えたいですね。
200万円を超えれば家計的にはどんどん手取り金額が増えていきますよ。
※このゾーンでは、夫の税金が増え、妻の国民年金保険料&国民健康保険料の支払いが発生し、妻の住民税と所得税も発生するため、年間家計の合計手取りは130万円以下のときと同じ程度か、より低くなる可能性が高い
【おまけ】
*フリーランスなら青色申告をすべき
これまでは、フリーランスの妻が働いてお金を稼ぎながら、世帯主である会社員の夫の手取りを減らさない方法を紹介してきました。
おまけでは、フリーランスの妻本人の税金を抑える方法を紹介します。
税金払わなくてよければ、丸々儲けになりますからね、大きいですよ。
フリーランスは税金関係もすべて自分で行う必要があります。
年間所得がゼロでなければ、確定申告をしなければなりません。
よく言いますよね、「年間20万円以内なら確定申告しなくていい」って。
あれは、嘘です。
1円でも稼ぎがあれば、本来は確定申告をして税金を納める必要がないことを証明しなくてはなりません。
面倒くさいうえに結局税金の支払いにはなりませんし、税務署も暇じゃないので見逃してくれてるだけですよ。
一応覚えておいてくださいね。
さて、フリーランスの妻が年間38万円以上稼ぐつもりであれば、青色申告をおすすめします。
青色申告をすればもらえる控除額65万円はバカにできません。
確定申告には「白色」と「青色」がありますが、青色申告の方がさまざまな特典を得られます。
当然手間暇かかりますが、現在は優秀な会計ソフトもいろいろと出ていますので、ぜひ青色申告にトライしてみてください。
青色申告の手順
- 青色申告をする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の税務署に提出
- 日々取引が発生すれば「仕訳帳」に記載、「総勘定元帳」を作成する
- 総勘定元帳をもとにして「損益計算書」「貸借対照表」を作成する
- 「青色申告決算書」と「確定申告B」を作成する
- 翌年の確定申告期日までに税務署へ持参・郵送・e-taxを済ませる
これが手順です。
複式簿記による帳簿付けなどが必要ですが、現在は会計ソフトなどがありますのでこれを利用すれば困難を極めるってことはありません。
ちなみに私はまず「freee」にて白色申告をして青色申告承認申請書を作成、税務署に提出しました。
だけど結局有料契約して、今年の青色申告をしようとしているのは「やよいの青色申告」です。
どちらも使いやすいですよ。
サポートが充実しているため人気もありますし、どちらかの会計ソフトの利用をすすめます。
↓↓会計ソフトやよい↓↓
青色申告はe-taxがおすすめ
2020年から、青色申告特別控除が65万円になりました。
ただし、これには条件があります。
- その年分の事業にかかる仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること
- その年分の確定申告書、青色申告決算書をe-taxを使用して行うこと
絶対簡単なのは、e-taxを行うことです!
私は2019年度分を初めてe-taxしましたが、拍子抜けするほど簡単でした~。
とはいえ、e-taxにいきつくまでが少々大変ではありましたね。
マイナンバーカードを作り、ICカードのリーダライタを購入して登録し、会計ソフトを契約してからのことですので。
時間もかかりましたし、正直面倒くさかったです……。
私が使っているICカードリーダーはこちら。
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だけど会計ソフトは素晴らしいですよ。
簿記の知識ゼロの私でも、大丈夫でした!
聞かれるがままに書き込んだら、ささーっと書類を作ってくれて、ぱぱーっと電子で送ってくれました。
便利……。(*^-^*)
先程もいいましたが、私が現在お世話になっているのは「やよい」シリーズの青色申告です。
使い勝手やシリーズについて書きました。↓↓
▶やよいのオンラインシリーズはこちらから
freeeもとても人気がありますね。
最初はお世話になっていたのですが、口コミをみて……というか、はっきりした理由がないまま有料契約をぽちっとしたのがやよいだったんです。
すみません、freee様。
その節は、大変お世話になりました。
*フリーランスでも夫の扶養に入れる! さまざまな特典を受けよう!
扶養に入ることで何と言っても大きいのが、年金と健康保険です。
自分で払うとなれば結構な金額になりますのでね。
夫の扶養に入っていれば厚生年金ですし、さらに税上の控除も受けられます。
私のように病気で外では働けないという人は、フリーランスとなりゆったり自分のペースでお金を稼ぐことがおすすめです。
子供さんが小さいかたも、家事育児が自分のペースでできる程度に収入と労働時間をおさえることができるのであれば、扶養に入れるのは有難いですよね。
私はフリーライターをしていますが、オークションでせどりで稼ぐ方、ハンドメイドのものを販売している方、手紙の代筆やテープ起こしなど、さまざまな職業があります。
夫の扶養から抜けたくないからとフリーランスとして独立することをためらっているなら、大丈夫です。
収入に制限はありますが、メリットも多いですよ。
扶養内で楽しく稼いでくださいね。
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