パニック障がいを持っている人は、ただでさえ不安で一杯です。
だってそういう病気ですからね。
小さな小さな、本当に些細な心配事を自分で瞬時に大きくします。
春先の筍のようにぐんぐん成長させ、その恐怖におののきながら怯えて行動ができなくなる病気、いや障がい、私はそう思ってます。
が、しかし、その不安は抗うつ剤と抗不安剤である程度抑え込めます。
ですから、毎日薬をちゃんと飲めば「普通の人」のように過ごせますし、仕事や学校にもいけるうえに友達とも遊べるわけですね。
精神薬…すごく小さなものですが、とても大きな働きをします。
本当に楽になりますよ。
薬は無駄に怖がるべきではありません。
しかし、日本の精神病治療は薬に頼り過ぎだって話もよくききますよね。
本当なら薬だけに頼らずカウンセリングや行動療法などで恐怖を克服し、ポジティブな記憶をどんどん上書きしていって完治できたら、言うことはないんです。
というわけで、今回は飲んでいる薬を減らしてみたときのお話です。
※パニック障がいの治療方法についての記事はこちら
- 減薬ってどんな感じ?
- 体にはどんな影響がある?
そんな悩みがあり、医者に言われても怖さからなかなか減薬を実行できない方もいるでしょう。
そんな方の参考になればいいなと思います。
ただし、あくまでも私個人の経験であることをご承知おきください。
- *減薬を開始したのはパニック障がいになって2年目くらいのとき
- *減薬開始! 悪魔の薬と呼ばれるわけがわかった
- *ぶり返しで減薬中止
- *再び減薬にトライ!
- *医者と連携することが最も重要!
- *こちらもどうぞ
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*減薬を開始したのはパニック障がいになって2年目くらいのとき
私は30歳になると体に不調が増え、その秋にはパニック障がいで広場恐怖を発症し、冬にはうつ病も併発しました。
※広場恐怖についての記事はこちら
秋にホームドクターのすすめによって心療内科を受診した私は、「身体表現性自律神経機能不全」と診断されます。
医者からは「いわゆるパニック障がいですね」と言われました。
仕事を辞め、自宅療法するうちに社会との断絶を感じてうつ病を併発。
しばらくは「死にたい」と願う希死念慮があるということで、うつ病の薬も増えます。
当時私が飲んでいたのは、パキシルCR錠12.5㎎が夕食後に1錠、デパス0.5㎎を毎食後に1錠ずつでした。
・パキシル・・・脳内でセロトニンの働きを強め、憂鬱や不安、過度の緊張をおさえる
・デパス・・・筋肉の緊張を取り、不安や緊張を和らげる
どちらも強い薬なので、体が薬に慣れるまでが大変です。
私も薬を飲み始めたときには眠気や吐き気、何だかぞわぞわと悪寒がするなどの症状がありましたが、2週間程度で慣れ、大丈夫になりました。
薬に慣れるまでは毎週診察にいき、経過を担当医がみてましたね。
経過によっては薬を変えることもあります。
その人にあってないと医者が判断したらですね。
私はうまくいきそうだと思われたのでしょう、そのままでいくことになりました。
もともとさほど酷い状態ではなかったのかもしれません。
これ以上薬が追加されることはありませんでした。
しばらく経つと寝たきりをやめて起き上がれるようになっていましたし、子供と話したり食事ができるようにはなっていました。
そのまま薬を飲みながら1年半くらいいきましたね。
寝た切りになっているときに落ちまくった体力を何とかするため外出もしていましたし、一人で買い物や通院もできました。
その頃、最初の社会復帰である焼き鳥屋でのアルバイトが決まります。
ちょっと未来に明るさが見えていました。
薬を飲むようになって2年目、「調子も良いようなので、減薬を始めようか」と担当医に言われます。
嬉しかったですよね!
やったー!(*‘∀‘) って。
だって薬は飲まなくていいならそれに越したことはありませんし、管理も大変なうえ(家族が間違って飲んだりしないようになど)薬代も高いんですよ!
そう、精神薬は高いんです。
大体仕事もいけない状態になってますから、通院代と薬代で結構な出費…それを気に病んで、また悪化するという人もいらっしゃいます。
そして、薬を減らしたかった理由は他にもありました。
減薬理由は悪夢を見るから。
夜、悪夢を見る。
めっちゃ悪夢を見るんです!!!
同じくデパスやパキシルを常用していて悪夢を見るようになったという、他の経験者のブログもたくさんあります。
まあこれはデパスやパキシルに限ったことではなく、「睡眠薬」として処方される薬にありがちな症状なのです。
睡眠薬には「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」という種類があります。
その作用はどれもが、脳神経に働きかけて眠気を誘発すること。
私が飲んでいたデパスは「ベンゾジアゼピン系」の薬で、眠導入剤として処方されることがあります。
不安や緊張をしずめ、眠くさせるお薬なのですね。
この働きのお陰で眠りはできますが、脳は活発化、熟睡はできず夢を多くみることになります。
恐らく薬で眠らされてるという不自然な状態を、自分でも不快に思ってるんでしょうね。
その感情が悪夢をみさせるのかな、と。
薬のお陰で眠れますが、悪夢で非常に苦しみました。
私がよく見ていたのは、人の殺害現場を目撃する夢。
他にも一人で世界に残される夢、百貨店でいつまでもお客様の行列が続いて仕事が終わらない夢、包装がどうやってもうまくいかなかったり、レジ操作ができずに慌てふためく夢でした。
仕事関係が多かったです。
今まで経験した仕事の、失敗シーンによく苦しめられました。
眠れるのは分かってる…。
だけどまた今夜も悪夢をみるんだろうなあ…そう思ってベッドに横たわる日々。
これも一種、地獄ですよ。
これを何とかしたくて、薬を減らしたかったのがあります。
ちなみにパキシルの副作用に「悪夢をみる」がありますので、私の場合2つの薬の相乗効果だったことも考えられます。
*減薬開始! 悪魔の薬と呼ばれるわけがわかった
しかし私の状態が改善していること、そして薬も言われた通りに飲めていることからコントロールはできていると認められ、減薬にOKが出ました。
わーい、やったー!そう思いましたが、医者からは「とにかく慎重に!パキシルもデパスも強い効果を持つ薬なので、離脱症状が心配されます」としつこくいわれました。
離脱症状ってナンだ?それって美味しいの?←古っ!
とりあえず帰宅してから調べたところ、薬に慣れてしまった体から薬の成分が消え始めると、それを求めて起こるさまざまな不快症状であることがわかりました。
特に抗うつ剤として処方されている「パキシル」は、別名「悪魔の薬」とも呼ばれている精神薬です。
効果が強く、副作用も離脱症状も強い…。
いや、悪魔の薬って何そのネーミング。
おい医者!
おめー何飲ましてくれたんだよっ!!!(# ゚Д゚)
…正直、最初はそう思いましたよね(口が悪くてすみません)。
だってすでに2年ですからね。
体はとっくにパキシルに慣れまくっています。
ただ、私が使っていたのはパキシルの中でも副作用が少ないように開発されたCR錠というものでしたので、まだマシではあったはずです。
それに薬のお陰で助かったのも事実。
お医者さんが言う通り、慎重に、少し減薬したらそれを半年続けるくらい長い目で取り組もう、そう思ったのですね。
この当時、これだけ減薬しました。
- パキシルCR錠12.5㎎を夕食後に1錠→5㎎を夕食後に2錠(10㎎)
- デパス0.5㎎を毎食後に1錠づつ→夕食後に1錠
デパスはいきなりガン! と減らしたわけでは勿論なく、2週間は朝晩の2回のみ、それがOKなら次の2週間は夜だけにする、という風にやりました。
割と順調だったと思います。
しかし朝晩の2回を晩の1回に減らしたときから、離脱症状が出ました。
デパスの離脱症状は、発汗・吐き気・まぶしさです。
他にも離脱症状はあるようですが、私が経験したのはこの3つ。
とにかくダラダラ汗をかきまくるし、やたらと気持ち悪い。
さらに光に極端に弱くなりましたよね。
電気は1ランク明るさを落としてもらいましたし、外へいくときにはサングラス必須です。
そして同時に「悪魔の薬」と呼ばれるパキシルの減薬も開始。
離脱症状がひどくて1度飲みだすとなかなかやめられないことからこう呼ばれるようですが、いやあ、この離脱症状がしんどかったです!
電気びりびりの刑。
24時間耳鳴りの刑。
拷問です、いやリアルに拷問は受けたことないけど、そのくらいえぐいと思う。
「シャンシャンびりびり」と言われるもので、これは有名ですね。
うち何かした!?? と絶叫したくなるような、全身に走る電気と耳鳴り。
あれ、究極に嫌でした…。
何なら悪夢より嫌でしたね。
あと吐き気・無気力もありましたが、デパスのこともあるのでこれはどっちの離脱症状かはわかりません。
薬が体に慣れるのに、2週間から6週間と言われています。
つまり、減薬時に離脱症状がなくなるのも同じくらいかかるわけです。
この離脱症状が苦しすぎて、減薬をやめてしまう方も多いですね。
とても残念なことですが、減薬を中止してしまうことが十分に理解できる苦しみでした。
*ぶり返しで減薬中止
私はぎゃあぎゃあ言いながらも、何とか2週間耐えました。
そして無事、電気びりびりの刑と悪夢の刑から脱出できたのです!
やったあああああー!!(*‘∀‘)
あ、悪夢見てないし、そういえば最近体に電気も走らないわ。
そう思ったときには万歳三唱したくなりましたね。
いや、やったかも…。
私のことならあり得ます。
そしてその状態からさらに進み、1年後にはデパスは0.5㎎から0.25㎎に減らしたうえ常用ではなく不安時の頓服となりましたし、パキシルは5㎎を1日ごとに1錠飲むまでに減らせました。
さらに夜ご飯でお酒を少しずつ飲むように戻っていたため、影響を考えてパキシルは夜ではなく朝食後に服用しています。
この時点で、もう体内の濃度はかなり薄くなっていたはずです。
外出のときも家族がいればさほど緊張しなくなり、デパスは3年くらい、ほぼ出番がなくなってましたね。
まだこんなに家にあるのに…勿体ない、と考えられるくらいでした(余った薬を販売するのは犯罪ですよ。気を付けてください)。
しかし、うまく行っていたのもつかの間、私はパニック障がいになって初の、巨大なぶり返しに襲われます。
3年前の夏ですね、この頃にはほぼ薬も飲まなくなっており、一人で外出もできるようになっていました。
ある日突然、急激な不安を感じ大パニックを起こしてしまいます。
何がトリガーだったのか、いまだにわかりません。
夏は弱いので暑さに弱ったのかもしれませんし、人の悪意を感じたのかもしれません。
いきなり起こった大パニックに、私は完全にノックアウトされました。
沸き起こる自殺願望! 消え失せる食欲と気力!
怒涛のごとくうつ状態に引き戻され、あまりの変化に病院にもいけず、ただひたすら泣きながら横たわり日々が過ぎるのを待ちました。
で、やっとの思いで病院へ行ったら、「ぶり返しですね」と言われたわけです。
「何でもっと早くこないの? 診察にはつらいときに来てよー」と言われましたが、つらいときには外に一歩も出られないんですよ…先生…。
※ぶり返しについての記事です
仕方ないですよね。
薬をやめるより、うつ状態から抜け出すことが重要です。
2日に1日まで減らしていたパキシルを、4日間朝食後に飲んで1日休むまで増やすことにしました。
体内濃度を上げ、ひどいうつ状態から脱出しようと思ったのです。
*再び減薬にトライ!
で、今ですね。
パニック障がいになって9年目。
3年前の巨大なぶり返し以来、以前はできていた「一人での外出」が無理になり、引きこもりになっています。
しかし薬を少し戻した結果か、うつ状態は抜け出しました。
郵便局や近所のスーパー程度なら一人で行けるようになりましたし、ライターの仕事も始めたので今は安定しています。
ここ1年はパニック発作もありません。
というわけで、また減薬に挑戦です。ジャジャーン!
本当はね、私を未だに苦しめる広場恐怖に効果が強いのは、抗うつ剤であるパキシルなんです。
ですから、単独でどこへでも外出できるようになるまではパキシルは飲んだ方がいいのでしょう。
しかし現在仕事は自宅でしていますし、一人で外出できないことは不便ではありますが、大層困るというほどではないのですね。
というわけで減薬です('◇')ゞ
パキシルを3日飲み、1日休むというのをやっています。
あと2か月ほどこの状態で過ごせたら、次は先生に相談して、もう少し減らせるかやってみます。
*医者と連携することが最も重要!
私はこうやって減薬してきました。
1か月ほど離脱症状に苦しんだこともありますが、そこを耐えればあとは結構スムーズに減らせたと思います(ぶり返しはありましたが)。
今は安定しているので、また減薬にトライです。
しかし、減薬を行うときには、必ずお医者さんに相談して言うとおりに行ってくださいね。
でないと危険です。
自分勝手に判断し、単独で減薬を始めてはいけません。
離脱症状、マジでつらいです!!!
私はあれでも楽な方だったことを知っていますが、それでももう少しゆっくり進めるべきでした。
決して無理はしない、医者と一緒にする、諦めない、これが大切ですよ。
また、担当してくれるお医者さんのことは信頼すべきです。
しかし減薬したいのにダメと言われる場合もあるでしょう。
そんなときは、セカンドオピニオンを聞いてもよいのではないでしょうか。
別の病院へいき、話をしてみてください。
パニック障がいはいつか治るはずです。
しかし薬はいきなりやめられません。
症状が安定している方は、減薬についてお医者さんと話してみてくださいね。