Sekime blog~パニック障がいのWebライター、アレコレ語る~

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パニック障がいの広場恐怖を改善する「行動療法」のやり方やメリットを紹介!

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以前、パニック障がいの治療方法の記事を書きました。

この中でも紹介した「行動療法」が本日のテーマです。

ここでは、行動療法とはどんな治療方法なのか、具体的にはどんなことをするのかを紹介していきます。

何とかしてパニック障がいや広場恐怖を克服し、社会復帰したい! と考えている方の参考になれば幸いです。

*行動療法は心理療法の1つ! その定義とは?

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行動療法の定義は、以下のようになっています。

神経症・心身症などの不適応行動は、誤った学習や条件付けによるとして、学習理論に基づいて適応行動に変えていこうとする心理学的な療法。

出典:小学館・デジタル大辞泉「行動療法」

 

ちょっと難しいですよね。

これを簡単にいうと、脳が間違った思い込みをしているためにわき起こる不安を訂正し、行動を正常に戻す方法、です。

具体的には、不安や恐怖にむかって行動することで症状の克服を目指します。

 

*行動療法と認知行動療法の違いは?

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「行動療法」と検索をすると、「認知行動療法」という単語がでてきます。

この2つは似ていますが、若干の違いがあります。

 

・行動療法・・・表面に現れた症状に着目し、これを改善する

・認知行動療法・・・物事の捉え方や思考パターンを含めた行動に着目し、考え方から行動を改善する

 

行動療法はあくまでも行動面だけの改善を重視しています。

そのため、もっと心の問題にも焦点をあてて治療していこうという動きになり、「認知行動療法」へと発展していきました。

 

電車などの公共機関に乗れない私の場合に置き換えると、それぞれはこうなります。

・行動療法・・・電車に普通に乗れるようにする

・認知行動療法・・・電車に乗ることをポジティブにとらえられるように考え方を変化させて癖つけ、電車に普通に乗れるようにする

 

それぞれの療法にはデメリットがあります。

そのため、過去には行動療法と認知行動療法を組み合わせてバランスを取りながら治療が行われてきましたが、現在はさらに研究が進んで「マインドフルネス」という手法が登場してきています。

※マインドフルネスの種類について書いた記事はこちら。


*行動療法が効果的な人とパニック障がい持ちの私の場合

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以下の方には行動療法が効果的であるとされています。

・うつ病など神経症
・発達障害児
・おねしょ
・チック
・摂食障害
・心身症
・不安・恐怖
・強迫症
・統合失調症
など

 

また、上にあげた病気ではなくとも、心身が健康な方の身近な悩みにも活用できますよ。

たとえば、積極性を身に着けたいと考えている方や、引っ込み思案を改善したい方、恋愛力を高めたい方などにも行動療法はおすすめです。

 

パニック障がい持ちの私の場合

私はパニック障がいを発症して9年目です。(2021年1月現在)

パニック障がい患者の約8割が併発するという広場恐怖症もあるため、電車やバス、飛行機、船などの公共機関に恐怖を抱きます。

自動車の免許を持たない私が社会生活をするうえで最も困ることは、「電車に乗れない」こと。

そのため、行動療法を活用して実際に電車に乗り、脳の思い込みを改善して「普通に電車に乗れる」ようにしていきます。

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今はまだ、こんな光景にも不安を感じます

私の場合は、最初に巨大な不安を感じたときが通勤電車の中でした。

そのとき以来電車に乗ると「また怖くなるのではないか」と考え、電車に乗ることを避けるようになりました。

私の脳は「電車」と「恐怖・不安」を結び付けて学習してしまったため、駅やホームに上がろうとするだけで不安感を持つようになり、電車には乗れなくなってしまったんですね。

安定剤を飲んだうえで家族と一緒であれば、まだ耐えられます。

しかし薬はともかく一人で電車に乗れるようにならないと、なかなか不便です。

 

この「電車に乗ると恐怖を感じる」と脳が思い込んでいる部分が、行動療法によって改善できます。

実際に電車に乗り、「ほら大丈夫だった」「電車に乗っても恐怖など生まれない」と脳にもう一度学習させ、不安をなくしていくわけですね。

つまり、実際の行動「電車に乗る」を段階を経て行い、「電車」と「恐怖・不安」を切り離していく作業です。

 

*行動療法を行うメリットは?

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行動療法のメリットは、以下の3つです。

・再発防止効果が高い
・応用がきき、対象が幅広い
・コストがかからない

 

行動療法のメリット①再発防止効果が高い

脳に再学習をさせると、不安や恐怖が再発しにくくなると言われています。

もちろんいろんな人・いろんな形がありますので、すべての人間の行動困難に効果があるわけではありません。

しかし上にあげた多くの方がその効果を感じ、再発していないという結果がでているそうです。

つまり、私も成功すれば、この人生ではもう電車に乗って恐怖を感じることはなくなる可能性が高いということですよね(有事の際は別として)。

これは大きな希望です。

 

行動療法のメリット②応用がきき、対象が幅広い

行動療法はその対象が幅広いこともメリットです。

広場恐怖症を患っている方は引きこもりになっている方が多く、薬や家族・友人の付き添いなしにはどこへも行けません。

そのため、「間違った思い込み」の数も多くなっているのですが、それらすべてを行動療法の対象にでき、再学習が可能です。

さらにパニック障がいが改善され社会復帰が成功したあとも、たとえば引っ込み思案を治して営業職について成績をあげたいなどという場合が出てくるかもしれません。

そんなときにも行動療法が活用できます。

 

行動療法のメリット③コストがかからない

基本的には行動療法にはお金がかかりません。

たとえば吃音癖のある方が他人との会話において行動療法をしようとするとき、お金は不要ですね。

お店に行って店員さんと話してみるといった、些細なことから始められます。


私の場合の「電車に乗る」という対象には電車賃がかかりますが、「スーパーに一人で行く」という対象に関してはそれ自体にお金がかかりません。

治療において金銭的負担が軽いというのは、一歩を踏み出すための良いキッカケになりますよね。

 

*行動両方の方法2つ

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行動療法には「オペラント条件づけ技法」と「系統的脱感作法」の2つがあります。

 

1、オペラント条件付け技法

人間の行動は、その行動の結果によって変わる」という考え方があり、それに基づいた行動療法がオペラント技法です。

 

行動の結果、自分にとって良いことが起こればやる気もでますよね。

たとえばこの仕事を5時までに片付けられれば、友人との飲み会に参加できる! といった場合。

友人とわいわい楽しみながら冷たいビールと美味しいおつまみを食べることが、行動の「褒美」になります。

それが欲しいために必死で頑張って、なんとしても5時までに仕事を終わらせようとするでしょう。

 

こどもにお手伝いをさせようと思ったら、こどもが何か手伝いをするたびに必ず褒める、抱きしめるといった「褒美」行動をします。

すると子供は行動をすれば幸せな気持ちになることを学習し、こちらからお願いしなくてもお手伝いをするようになってきます。

 

私も単独で散歩や買い物、銀行へいって用を足せたときなどは、家族に散々自慢をして褒めてもらいます。

それでまた頑張ろうという気持ちになるのですね。

これが、オペラント条件付け技法です。

 

2、系統的脱感作法

系統的脱感作法は、ストレスや不安、恐怖などに少しずつ慣れさせることで耐性を高く強くしていく行動療法です。

 

流れは以下の通りです。

1、不安・恐怖・ストレスを感じるシーンを紙に書きだす
2、それぞれの場面にどの程度の不安・恐怖・ストレスなのかの点数つけをする
3、点数の高い順番で「場面」を並べ、不安階層表を作る
4、心身をリラックスさせながら「不安階層表」の一番下の場面を想像するか、実際にその状況に身を置く
5、一番下の不安場面に自分が慣れたら、次の段階へステップアップして同じことを繰り返す
6、最終的に最も不安・恐怖・ストレスを感じる状況に自分が慣れて大丈夫になるまで繰り返す

 

(4)のときの心身をリラックスさせる方法には、「自律訓練法」が役立ちます。

自律訓練法のやり方については以下の記事をどうぞ。 

以下は、私の場合の不安階層表です。

私は家族と一緒であれば(安定剤も服用する)一応電車には乗れますので、ここでは「一人で」がポイントとなっています。

レベル⑤1人で電車に乗る ←最も不安・恐怖・ストレスを感じる

レベル④1人でホームで電車を待つ

レベル③1人でホームに上がる

レベル②1人で改札口を抜ける

レベル①1人で駅まで向かう ←最も不安・恐怖・ストレスを感じない

 

最初は自律訓練法や呼吸法を使って自分をリラックスさせながら、駅まで一人で向かうという行動を「平気」だと思えるまで繰り返します。

駅まで一人で行けるようになったら、切符を買ってホームに上がるという練習をします。

しばらくは電車に乗れず見送るとしても、ホームのうえに平気で居られるようになれば、電車に乗ってみるのが次のステップ。

そうやって自分を慣らし、脳に「電車」と「平気」を結び付けさせていきます。

 

*いずれにしても焦りは禁物

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どの治療法もそうですが、焦りは禁物です。

減薬も治療も焦った瞬間からうまくいかなくなります。

行動療法も、できれば担当医やカウンセラーが一緒について行っていく方がいいのですが、日本ではそれができる体制がととのった病院が多くありません。

私が通う心療内科でも相談してみましたが、難しそうでしたね。

というわけで、私は自分で調べ、かなりゆっくりめにトライしています。

とにかく焦らない、今より状況が悪化しないようにする、それを自分に言い聞かせて行ってくださいね。

 

自律訓練法や呼吸法など、リラックス方法をしっかりと身に着けてからがおすすめです。

いつどんなときも冷静でいられるようになれば当然パニックは起こらず、脳が学習しなおす間も平静を保っていられるでしょう。

学習速度は上がるはずです。

 

少しずつ、だけど確実に成功体験を積み上げて、心の平安を手にいていきましょうね。

 

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