Sekime blog~Webライターの雑記ブログ~

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エッセイ⑥イッツ・フリー!

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6、イッツ・フリー!!


既に私をご存知の皆様はよくわかってらっしゃると思いますが、私は大阪生まれの大阪育ち。

場所は北摂と呼ばれる北の方面なので、さほどベタベタな言葉遣いだったり濃密な地域付き合いがあったりするわけではないのですが、それでもまあ、大阪人です。
 
世間では、お金にシビアとよく言われている大阪人。

元は天下の台所、商人の町で発展してきたから損得勘定も発達したのだ、と言われていますが、それだからなのかどうかは知りません。

しかしタダであるということ、回りまわって自分に得があるという事に、実に敏感な種族であるとは思います。

まあ当然人によりますよ、元来の気質というものはありますしね。

大阪に生まれ育った人が誰でもタダが好きなわけではないでしょう。

しかし、少なくとも私は「タダ」とか「得」とかが大好き。

自分だけいい思いをすることに抵抗がありがちな日本人の精神文化ですが、私は気にしません。

自分が得、それって素敵~! 大好きだわ~って大阪の人は多いのではないでしょうかね。

大阪人(関西人?いや、大阪人に特化すると思う)が山や高原に登る、もしくは田舎に行けば多くの人が発してしまうのがこの台詞。

「うわ~、やっぱり空気が美味しいわ~! ほら、あんたら、いっぱい吸っときや! タダやで!」

空気はタダ。

しかも、うまい。

だから沢山吸い込んでおけってことですね。

これ、普通なんですよ。

このセリフを友達や家族が言ったからといって驚いたり引いたり眉をひそめたりはしません。

でも他県民の方と一緒の時にこれ言うと笑われるの。

どうしてー? 何で何で? どこが笑うとこ? もしかして、苦笑?

確かに必要ない一言ではあるのかもしれませんね、「タダやし」というのは。

でもそれを言うことで、よりお得感が増すのですよ!

だって素晴らしいものには何でも価格がひっついてくる現代で、自然の素晴らしい空気が無料だなんて、何て幸せなんだろうって思うでしょ?

そこに必要なのです。

タダなのに!( ゚Д゚)って。

会話に笑いの要素を取り入れたいという関西特有の考えもあるからかもしれません。

その一言で皆が笑ってくれたら嬉しいのです。

だから敢えていうのかも、必要のない「タダやし」の一言を。

場が和むでしょ、誰かの笑いは伝染するし。

 

もう一つ。清流にて、冷たい水に手足を浸し、子供らが喜んでいるという場面です。

こういうときに言うのは、次のセリフ。

「良かったなあ、気持ちええなあ~。タダやし、泳いでもええで~(*‘∀‘)」

タダだから、いいのですね。

当然遊泳禁止などと看板が立っている場合にはそれを遵守しますが、遊泳もしくは水遊び可能なところでは普通に「泳げば」とは言わず、「タダやし泳いだら?」と言うケースが多いように思います。

 

店にて値段の交渉をするのも、基本的にはこの考えに由来します。

つまり、言うのはタダなわけですよ。

そのためとりあえず言うわけですね、自分の正直な希望を。

「まけて」(安くして)って。

ダメ元です。

でもほら、千里の道も一歩からって言うでしょ?

とりあえず言うことで値引きへの道は始まるわけですよ。

 

自慢にはならないかもしれませんが、私が定価で商品を購入するのは誰かへのプレゼントのみ。

他の方へ贈るギフトや楽しい仲間たちと行く飲み会ではけちりません。

ガンガン金を使いますし、値切り交渉も一切しません。

でも日常生活品や家族でいくテーマパークなど、定価払うことは滅多にないです。

必ず何かの割引券を見つけてから行きますね。

クーポンが毎週貰えるドラッグストアにいくし、スーパーの見切り品が大好きです。

身にしみ込んだ節約意識から解放されず必死こいて割引券を探しますよ。

てへ。

電気屋さんとか新聞屋さんとかね、大事だと思うのですよ。私はこの商品にはこれくらいの金額が妥当だと思う! と主張することは。

無理だったら無理で仕方ないけれど、もしかして? には賭けたいのです。

 

私の母親は神戸出身の商家のお嬢様だったので、そんな娘である私をとても嫌がります。

物には物の基準があって、向こう様のつけた値段にいちゃもんつけるのは間違っている、のだそうです。

恥かしいらしいですわ、そして「あなたのそれは卑しい」とも言われたことがある。

 

でも母の批判にはめげず負けず堂々と、私は値切るのです!

だって楽しいもの (*‘∀‘)

大体いちゃもんて何やねーん。

私はいつも自分の希望を言うだけなんですよ。

「これに3万は出せない」とかね。

そうしたら向こうが「では……」って電卓叩くのだもの。

素敵なコミュニケーションじゃない?

 

ちなみにそんな大阪人でも、多くの人が「要らない」というタダのものがあります。

街頭で渡されるチラシ、あれですね。

コロナ禍に突入した2020年からはチラシの配布など見たことはありませんが、昔は一般的な宣伝ツールとしてよく行われていましたし、私も学生時代のアルバイトでよくやっていました。

しかし配布されるのがただのチラシであった場合、いくらがめつい大阪の人でも食いつきません。

むしろゴミを押し付けてくんなや! みたいな冷たーい目で見て露骨に避けていきます。

ティッシュがついていれば貰うけど(鼻炎などがあれば特に)、ただの紙なんぞタダでもいらねーよってことですね。

ただし! ただし、ですよ。

この街頭チラシの裏が白紙だったなら、大阪のおばちゃん達が貰ってくれる率はぐいーんとアップします。

一度不思議に思って聞いてみたことがあるんです、アルバイト先のおばちゃんに。

返事はなんと裏紙をメモ用紙にするから、でした。

それは、さすがに若い子はないですよね。そこまではしない。

格好つけたい年頃の男の子女の子、忙しくてかまってられない子育て世代も、それはないんです。

でもおばちゃんは、貰う。チラシの裏が白かったら。

タダやし、裏かけるやん! って嬉しそうに言いながら。

うーむ……おそるべしですよね。

何回も利用して捨てるというのは、地球には優しいのでしょうけれど……。

私はまだそこまではいきつかない。

だけど、きっといつかはそういう風になるのではないかな、と思って、自分で苦笑してます。

 

長い道のりだわ、フリーを極めるには!

 

あ、最後にこれだけは。

うちの相方も大阪生まれの大阪育ちですが、彼は「タダやし」とは滅多に言いません。

一度気になって聞いたことがあるのですが「思っても言わない」そうです。

えー、何で? どうして? と質問攻めにすると、「自分でわかればそれでいいから」との回答がありました。

タダや、ラッキーって心の中で思うんだそうです。

まあそれでいいっちゃいいんだけどさー……やっぱり私は不服です。ぶつぶつ。

 

「うわあ、タダや!!(こんなに素敵なものが)」°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

って、手に手を取り合って夫婦で喜びたいのに。

それは叶いそうもありません。

……ちぇっ。