古都・奈良には鹿がたくさんいることは有名ですよね。
道の真ん中を普通に歩いたり、観光客から鹿せんべいをもらう姿などは、テレビや雑誌、SNSでもよく見られています。
あの可愛い鹿さんたち、大阪生まれ大阪育ちの私にとっては「当たり前に奈良にいる動物」でしたが、当たり前すぎて調べたことがなかったのですね。
今回、奈良の東大寺参拝を思いつき、奈良へ行って来たので鹿さんにも癒されました。
ということで、ついでに奈良公園にいらっしゃる鹿さんについて調べたので、少しばかり増えた知識を紹介します!
*鹿は神様の使い
奈良では、鹿は神様の使いだと考えられています。
と言っても、奈良の鹿の始まりは、実は関東の茨城県にある鹿島神宮です。
茨城県の鹿島神宮の神様である武甕槌命(タケミカヅチノミコト)は768年(神護景雲2年)に、鹿島神宮より白い鹿に乗って春日山へやってきたそうです。
その白い鹿が奈良で子どもを産んだことで、奈良に鹿が増えたと言われています。
武甕槌命といえば奈良公園の中にある春日大社の主祭神のひとりですが、茨城県からやってきたんですね~。
奈良の春日大社は、日本各地にある3,000ほどの春日大社の総本社ですよ。
ユネスコの世界遺産にも登録されています。
鹿さんは、春日大社の始まりに関係していたのですね。
*奈良公園での鹿について
奈良公園にて神の使いとして敬愛されている鹿ですが、彼らは1957年に「奈良のシカ」として国の天然記念物に指定されている野生動物です。
つまり、人間に飼われているわけではありません。
奈良県は鹿の保護と育成に努めているということですね。
種族は二ホンジカですが、亜種だそうですよ。
遺伝子研究の結果、紀伊半島に生息している二ホンジカの中でも奈良公園の鹿たちは特殊な遺伝子集団を形成していると明らかになったとか。
研究グループは、奈良の鹿が1,000年もの間消滅しなかったのは、人に手厚く保護されてきた証であるとみています。
参考:Science Portal「奈良のシカ、1000年以上前に祖先から分岐 独自の遺伝子型保持は手厚い保護の証」
・雄雌の割合
奈良公園の公式サイトによると、令和6年(2024年)の7月に行われた調査では、雄が313頭、雌が798頭、子が214頭で1,325頭が確認されています。
雄は角があり、雌には角がありません。
参考:奈良公園「奈良公園の鹿のマメ知識」
牡鹿の角は木々や人間を守るために切られますが、特に痛みはないそうです。
それを聞いて安心しました、やっぱり痛いのは可哀想で(´;ω;`)
人間が爪を切るような感覚だそうです(どうしてそうとわかったのだろう)。
・鹿の食事
鹿たちは、奈良公園に生えているシバや木の実などを食べています。
観光客があげる「鹿せんべい」は小麦粉と米ぬかから作られたもので、鹿にとって安全な食べ物ですが、あくまでもおやつです。
ちなみに、鹿たちが届く範囲の枝葉を食べるため、奈良公園の木々はおよそ2m以下には枝がない、見通しのよい林が形成されています(これをディアラインと呼びます)。
・鹿の寝床
奈良公園の中で、それぞれのグループによって決まった場所があるそうです。
縄張りなのでしょうねえ。
鹿は前足を折って、座って眠るとか。
昼間はたくさん参道に出ていますが、夜には一匹もいなくなると奈良の方は言っていました。
・鹿の糞
私が公園内で見た風景は、ボランティアの方(?)が塵取りと箒で鹿の糞を掃除している姿でした。
しかし調べたところによると、鹿の糞はフンコロガシ(コガネムシ)が片付け役としているそうです。
鹿が芝生を食べて糞をすると、それをコガネムシが食べて地中へ運び、芝生の肥料となるので芝生がよく育ち、それをまた鹿が食べる、という回転が自然界にはあるみたいですね。
よくできてますよね~。
そのサイクルによって奈良公園の美化は保たれているんだとか。
私が見たのは土の上ではなく参道のコンクリートの上だったので、そういうところは人間が対応しているのかもしれませんね。
観光客も踏んでしまうし。
*奈良公園の鹿と接する際の注意点
では、奈良公園にいる天然記念物である鹿に、接する場合の注意点について確認しましょう。
・ペットの扱いをしない
・餌をじらさない
・鹿せんべい以外のものを与えない
・ペットの扱いをしない
前述したように、奈良公園にいる鹿は、野生の動物です。
危険を感じるようなことがあれば人間に対して攻撃もしますし、触られることを嫌がる鹿もいます。
いきなり噛んだり蹴ったりすることもあるため、必ず距離感をもって接するようにしてください。
特に小さな子どもさん連れの方は、気を付けて子どもさんの行動を見ていてくださいね。
ペットの犬や猫のように考えて、不用意に手などを出すことはおすすめしません。
・餌をじらさない
鹿に鹿せんべいをあげるときは、じらさずにすぐにあげてください。
鹿は野生で、人に飼われている犬のように「待て」ができるわけではありません。
腹を立てると頭突きをしてきたり、服や体を噛まれることもあります。
・鹿せんべい以外のものを与えない
奈良公園にいる鹿は、公園の木の実やシバを主食にして生きています。
鹿せんべいは安全なおやつ。
人間が、自分が食べているものを与えることがないようにしましょう。
ゴミを食べたり、人の食べ物を食べた結果、死んでしまう場合もあるそうです。
なお、公園内にはゴミ箱はありませんので、ゴミは必ず持ち帰ってくださいね。
*奈良の鹿を支援する方法
1000年以上も人間に守られ、共存してきた奈良公園の鹿たち。
鹿を支援したいなあと考えた方は、一般社団法人奈良の鹿愛護会にコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。
この会は、鹿と人の共生のために24時間体制で保全活動を行っている団体です。
鹿の角切りや鹿寄せといった伝統行事を執り行っているのもこの会で、鹿の保護育成のみならず、保護するために必要な研究や調査、環境教育なども行っています。
鹿のおやつである鹿せんべいも、鹿愛護会の登録商標です。
そのため、売り上げの一部は鹿の保護にあてられており、鹿せんべいを購入することも鹿の支援に当たります。
詳しくは、一般社団法人奈良の鹿愛護会のHPをご覧ください。
▼鹿愛護会のHPはこちら
*可愛いけれど野生! 鹿には節度を持って接しよう
奈良公園の鹿は「神の使い」として、長年にわたって人の保護を受けてきました。
それゆえに絶滅の危機を経験せず、他の二ホンジカとは異なる独特な遺伝子集団を形成しています。
彼らは人に慣れていますし、愛くるしい見た目の草食動物ですが、あくまでも野生です。
お互いの安全のためにもむやみに触ったり追いかけたりせず、適度な距離を保って接するようにしてくださいね。
私は今回の奈良公園で、寒さに負けて鹿せんべいをあげませんでした(手袋を外したくなくて)。
でも鹿さんたちはおやつを求め、可愛く何度も会釈をしてくれたんですよね。
はー、可愛かった……!
今は鹿せんべいの購入が愛護会への支援にもなるとわかったので、今度は絶対におやつをあげると決心しています。
奈良の鹿に会いに行く方の、参考になれば幸いです°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
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