1年が終わる頃が近づくと、社会人なら多くの方がうんざりすることがありますよね。税金関係の書類作成です。会社員であれば、生命保険会社からくる保険料控除の書類やマイホームのローン控除の書類などを会社に提出すれば会社が処理をしてくれますが、フリーランスはすべて自分で行う必要があります。
個人で税理士さんと契約している方もいますが、私は毎年個人で確定申告をしています。そして、そろそろ経費や収入を調べ、お世話になっている会計ソフトに入力していかなければなりません。
※私がお世話になっている会計ソフト「やよいの青色申告」
課税所得に大きな影響がある経費。ここでは、経費とは何か、経費に計上していいものやしてはいけないもの、実際に私は何を経費計上しているかなどについて、紹介していきます。
目次
*経費とは何か
経費は、「経常費用」を省略した言葉で、事業のために支払った費用を意味しています。
仕事をするうえで必要となったコストですので、収入(売上)から差し引くことができるのですね。個人事業主が仕事をするために支払った金額は、すべて経費として計上できます。
課税所得を1円でも少なくするために、たとえ少額でもきっちりと管理していきましょう。
*経費として認められている内容
では、個人事業主が確定申告をするにあたって、経費として認められる内容はどんなものでしょうか。
1、租税
個人事業税や事務所の固定資産税、仕事で使う車の税金といったもの
2、荷造運賃
宅配便や郵便物の梱包材・送料など
3、水道光熱費
ガス・電気・水道料金
4、通信費
固定電話・スマートフォン・インターネット料金・切手・サーバー代など
5、旅費交通費
公共交通料金・タクシー・駐車場・宿泊費など
6、広告宣伝費
パンフレット、名刺代など
7、接待交際費
顧客との飲食・お祝い金・贈答品代など
8、損害保険料
事務所の火災保険や自動車の修理代など
9、消耗品代
事務用品や事務所の電球、USBメモリなど
10、減価償却費
パソコン・カメラ・自動車など、10万円を超える高額な固定資産を一定期間にわたり計上する費用
11、外注加工費
仕事を外注したときに支払うギャランティなど
12、地代家賃
事務所の家賃や駐車場代
13、雑費
クリーニング代、ごみ処理代など他の項目に該当しない少額の費用
他にも専従者給与や貸倒金、利子割引料などの項目があります。ここではフリーライターである私が使う可能性が高いものを書き出しました。
認められていない内容
経費は仕事のために支払ったコストである必要がありますので、以下のようなものは経費としては認められません。
1、仕事に関係ない、衣食住費、養育費などの生活費
2、仕事とプライベート両方に関係があるものの、プライベート部分にあたる支払い
3、所得税・復興特別所得税・住民税など
4、罰金・科料(とがりょう)・過料(あやまちりょう)・国税の延滞税や加算税、地方税の延滞金や加算金
5、資産の値下がりなどによる評価損
6、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給料や賃金(青色事業専従者に支払う給与を除きます。)・家賃・利子
参考:No.2210 やさしい必要経費の知識|所得税|国税庁 (nta.go.jp)
*プライベートと経費はきっちり区別しよう
個人事業主にとって、これってどこまでが経費?と悩むパターンはいろいろありますよね。たとえば、多くのフリーライターは自宅が職場でもあります。生活をする場所として家賃やローンを支払っていますのでそれは仕事のためではありませんが、その家の中に「事務所がある」状態なわけですね。
スマートフォンもそうです。私個人のものであり、実家や兄弟姉妹、親戚、友達とのプライベートなやり取りをしますが、仕事にも使っています。そんな場合には、スマホ代全額を経費にしていいのか?と悩みますよね。
結論としては、「全額を経費にしてはいけません」。プライベートで使うこともあるモノ・場所であれば、仕事で使う分のみを計算して金額を出し、それを経費としましょう。それを、「家事按分」と言います。
どうせ細かいことはわからないだろうと、たとえば住宅ローンの金額や家賃分をすべて経費として申告した場合、税務署から認められず、後々大きなトラブルになる可能性があります。
家事按分で区別
家事按分は、あること・モノに支払った金額を、仕事で使った分とプライベートで使った分にわけ、その割合を計算して仕事で使ったものだけを経費とすることですね。では、家事按分にはどんなものがあるでしょうか。代表的なものには以下の4点があります。
・家賃
・水道光熱費
・通信費
・自動車など
最終的には、なぜこの金額を経費としたのかを人から根拠をたずねられたとき、きちんと説明できればそれでOKです。理由があれば全額経費計上しても構いません。私は小心者なので、後に詳細を書いていますが全額経費として計上しているのは消耗品代だけですね。
1、家賃
私のように自宅の一角を仕事スペースとしている方は多いでしょう。この場合、面積に応じて計算すれば、経費として計上できます。
たとえば、2LDKのマンションやアパートに住んでいる方で、1部屋を丸ごと仕事場としている場合(LDKと2つの部屋は同じ広さとする)、家賃の1/3を経費として計上できます。これだと計算はしやすいですよね。仕事部屋をしっかり作っているのであれば、税務署からつっこまれたときにも説明しやすいでしょう。
しかし私のように2階建て4LDKの一軒家、そのダイニングの食卓でパソコン仕事をしている場合はどうなるかというと、ちょっと面倒くさくなります。まず家全体の広さの何%を使用しているかを計算し、その割合×毎月のローン金額。100㎡程度の家の中で仕事をしているスペースは1畳程度なので、計算しようと考えるだけでうんざりしますが、こうすれば出せます。
2、水道光熱費
ガス代や電機代、水道代ですね。これも仕事で使っている分を計算すれば、経費計上ができます。
たとえばパソコン仕事を室内でしている場合、1日の作業時間を8時間とすると、1日分の電気代の1/3になりますね。水道代やガス代は業務で多用しなければ、経費にできても少額です。
3、通信費
仕事用とプライベート用にサーバーやコンピューターが全て別々なら問題ありませんが、一緒であればこれも割合を計算して計上しましょう。
4、自動車など
仕事用に1台車があれば簡単です。しかし大半は自家用車を仕事にも使っている場合が多いので、プライベートでの走行距離と仕事での走行距離やガソリン代を計算してください。
*経費は発生主義
経費をいつ計上するかのタイミングですが、原則は「発生主義」となります。つまり、売り上げや支払い義務が発生したタイミングで帳簿に記載しましょう。
3月に購入した仕事で使うパソコンが、4月に届いたとします。このとき、実際に支払いをしたのは3月ですので、3月分に経費計上をします。私がお世話になっている「やよいの青色申告」では、取引手段に「クレジットカード」を選ぶと「支払い予定日」の入力も出てきます。取引日は3月で、支払うのは4月ということですね。
*関目いちこの経費状態
さて、ここでは実際に私が経費計上している分を紹介します。もしかしたら参考にされる方もいるかもしれませんので(いないだろうと思いはしてますが…)一応です、一応。
私は経費が少ない人間です。というのも、基本的に外出できませんので、交通費・接待交際費・広告宣伝費がありませんし、自宅の一角で1人で仕事をしていて所得を95万円以下に抑えているため、租税や損害保険料、専従者給与などもありません。
というわけで、経費計上しているのは以下のものです。
・水道光熱費
・通信費
・消耗品代
・雑費
あまりトイレも行きませんし、水道代は計算していません。我が家はオール電化住宅なのでガス代はなし。パソコン仕事ですし夏場・冬場はエアコンを使用するため、電気代のみ経費計上しています。朝から晩までパソコンを使い、ライター仕事を完全に休むこともあまりないので、大体、毎月の電気代の3割ですね。夫婦2人なら我が家の電気代はほぼ私が使っていることになりますが、子供が2人いて彼らもじゃんじゃん電気を使うので、5割にはちょっとできないかな、という感じ。
パソコンはほとんど仕事オンリーなのですが、たまに子供に頼まれて調べものをすることもありますし、創作活動も思い出したようにやります。スマホはほぼプライベートですがやはり仕事に使うこともある。なので、通信費はスマホ代3割、インターネット通信費も3割で計上。
メモやボールペン、仕事管理のためのシールや付箋など消耗品代は全額計上、海外ドラマを観てレビューや感想を書く仕事も受けているため(ブログでもやっています)、VODの月額料金を雑費で計上しています。dTVとAmazonプライム代ですね。子供も視聴することがあるので、5割を経費にしています。はてなブログは営業ツールですので、この契約金も経費となります。
そして家賃ですが、前述したとおり、計算することがすごーく面倒くさいパターンなのです。自分専用の部屋でもあれば計算して計上したいのですが、私個人の部屋もありませんので、家賃は諦めて経費計上していません。ノートパソコンなので、自宅のどこでもできますしね…。これが夫の扶養から抜けられる程度に稼げるようになったら、個人の部屋を作って計算し、経費とするかもしれませんね。
驚いたこと
さて、ここからは最初に独立してライターになったとき、調べて驚いたことを紹介します。
ビジネスパーソンの制服ともいえる、スーツ。実はスーツの購入費、経費計上できないんですよ。というか、超グレーゾーンだそうです。これは税理士さんの中でも意見が分かれるそうですが、たとえば弁護士などスーツ着用がいわゆる常識で、それが制服化している職業であれば、仕事で使う分に限っては認められるそうです。しかしフリーランスの多くは、「絶対にスーツ着用でないとNG」という理由が存在しないため、一般的には経費とは認められません。
おお~!と驚きました。もちろん現在の私はスーツどころか、たまにパジャマのまま仕事をしています。だけど10年以上前の生命保険会社時代にはスーツを着ていて、しっかり経費として落としていましたよね。だって営業だし、仕事でしか着ませんから。だけど本来は、認められないことが多いんですね~。
ちなみに、本来なら経費計上できないものを知らずに経費扱いしてしまうこともありますよね。ミスならば、計算しなおして適正金額を納税して終わりです。しかしこれがわざとであれば、「脱税」とみなされて重加算税が課されますよ。お気をつけください。どうしてもわからないというモノがあれば、税務署に電話をして質問しましょう。それが確実です。
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