パニック障がいやうつ病を抱えていると、いつ抜け出せるかわからない暗くて狭くて長いトンネルを匍匐前進している気分になることがあります。
薬を飲み、行動療法や規則正しい生活を送ることで確実にマシにはなってきますが、もっと何か改善のためにやれることはないだろうか? と治療法を探してしまう方も多いですよね。
ここでは精神疾患の改善方法では必ず出てくる言葉「マインドフルネス」について、その種類や効果、注意点などを紹介していきます。
まずはどんなものがあるのかを知り、一歩を踏み出してみてくださいね。
- *マインドフルネスとは今に集中すること
- *代表的な5種類のマインドフルネス
- *マインドフルネスで期待できる効果4つ
- *マインドフルネスを行ううえでの注意・デメリット
- *マインドフルネスの種類を知って一歩を踏み出そう
- *こちらもどうぞ
▼PR
*マインドフルネスとは今に集中すること
マインドフルネスは、現在に集中し、体験に判断を加えずに観察するといった心理学的治療法の一種です。
正確には「マインドフルネス低減法」と言います。
「心を無にして頭を空っぽにし、今起きていることだけに集中する」ことにより、心身のさまざまな症状を緩和していく方法です。
人間の頭は起きている間中、常におしゃべりをしています。
不安や否定、恐怖の中身、人からの評価、どうしようもない過去のことやどうでもよいこと、一日中いろいろと考えています。
特に不安障がい・パニック障がい・うつ病などの不安感がもとになって起こる病気を持つ人は、この傾向が顕著。
常にアレコレ考えすぎ、脳はオーバーワーク状態です。
雑念だらけの脳はなかなか休まらないため、人の心身に悪影響を起こしてさまざまなパフォーマンスを低下させてしまうと言われています。
その状態を改善するためには、心と頭を空っぽにしてアレコレ考えることをやめ、今目の前の現実にだけ集中をすることが必要です。
その方法が、マインドフルネスですね。
マインドフルネスを実行することにより、脳に休息を与えます。
その結果、リラックスしながらも感覚は鋭くなり、心がいろいろなものに振り回されなくなるのですね。
脳が休まることは自律神経失調や精神疾患にはとても有効です。
また、脳がきちんと休息することで心身が混乱状態から抜け出し、自分が持っている最大の力をさまざまな場面で発揮できるようになります。
そのため、多くのアスリートグループや大企業では選手や社員のためにマインドフルネスを教育の一環として取り入れていますよ。
頭が混乱から解放されて効率よく働けるようになるので内臓も元気になり、体に出ていた不調も改善できます。
マインドフルネスの由来は仏教
マインドフルネスの考え方のもととなっているのは仏教です。
仏教の教えには「サンマ・サティ」というものがありますが、これは常に落ち着いた心の行動という意味があります。
禅の教えですね。
アメリカ人の分子生物学者ジョン・カバット氏が1979年に禅を現代的にアレンジし、医療で用いられるようになりました。
カバット氏はマインドフルネスを利用し、患者が感じている慢性的な痛みやストレスを緩和しようとしたのです。
マインドフルネスが医学的に患者へ与える良い影響は、さまざまな研究の結果、その有効性を認められています。
参考:マインドフルネスの科学的根拠、神経可塑性 – マインドフルネスプロジェクト
*代表的な5種類のマインドフルネス
マインドフルネスといえば瞑想をイメージする方が多いですが、実際には5つほど種類があります。
いずれも雑念を消して今に集中するための方法ですね。
・ヨガ
・瞑想
・ボディスキャン
・シェアリング
・ジャーナリング
では、それぞれを簡単に紹介します。
マインドフルネスの種類①ヨガ
ヨガはインドの健康法ですね。
アメリカやヨーロッパでエグゼクティブ層が日常生活に取り入れだしてから、世界中で爆発的に流行りました。
ヨガ自体にさまざまな派・種類・やり方がありますが、マインドフルネスでは一般的なヨガのようにポーズを取ることを目的とはしません。
ポーズを取る自分の筋肉の緊張や弛緩、呼吸の流れ、体温などに集中し、自分の体と向き合うことが目的です。
意識してポーズを取り、手足など体の感覚をじっくりと観察することで、「今」に向き合うのですね。
マインドフルネスの種類②瞑想
瞑想は大変有名なマインドフルネスの方法です。
目的は正しい姿勢で呼吸に意識を向け、心と頭を空っぽにして脳を休息させること。
英語ではメディテーションといい、調身・調息・調心を目的として行います。
瞑想状態になると、わずか15分の瞑想で4時間の熟睡に匹敵すると言われるほど脳が休まるそうです。
脳が元気を回復すると心身への良い影響は凄まじく、生産力・ストレス耐性力・免疫力などの向上も認められていますよ。
瞑想が持つ効果を脳科学的に説明したサイトはこちら。
ちなみに、瞑想が持つ種類は以下の5つです。
座って呼吸に集中するだけが瞑想ではないので、覚えておいてくださいね。
・呼吸瞑想
・歩行瞑想
・食事瞑想
・慈悲瞑想
・舞踏瞑想
これについてはまた別の記事で紹介しますね。
マインドフルネスの種類③ボディスキャン
ボディスキャンは瞑想の一種。
床に寝ころび、呼吸を静かに繰り返しながら体のすべての部分へ意識を向けていきます。
寒い・冷たい・暑い・痺れている・痒い・風を感じるなど、今体が感じている感覚に意識を集中することで痛みや緊張がある場所をゆっくり観察するのです。
ボディスキャンは自分自信を客観視するトレーニングでもあります。
たとえば手が痛い、頭が痛いといった状態になったときに混乱してパニックを起こし、他のことが手に着かなくなるといった状態にならないようにできます。
毎日ボディスキャンをすることで「痛い」という感覚を客観的に見られるようになるからですね。
マインドフルネスの種類④シェアリング
シェアリングは、マインドフルネスのトレーニングを通じて得た気づきや体験を他の人々と分け合う方法です。
これにより自分以外の方が得た新しい発見を、自分も得られます。
このときマインドフルネスの基本である「評価をしない」ことに注意しましょう。
あくまでも、人との会話で自分の面や考え方に気づくことが大切です。
マインドフルネスの種類⑤ジャーナリング
ジャーナリングは今自分が考えていること、頭に浮かんだことなどを5分~10分の間ひたすら紙に書き出していく方法です。
これは「脳の排水」と呼ばれ、浮かぶいろいろなことを文字化することで頭の中を整理していきます。
最初は多くの方が戸惑い、書く作業に疲れて手の痛みを覚えるなど不快な症状にも悩みますが、続けていくうちにその良さを体感できるようになります。
紙に書き出している間はその作業に集中するため、没頭すればするほど終わったあとに頭がクリアになったように感じるでしょう。
*マインドフルネスで期待できる効果4つ
何事も最初はうまくいきません。そのため、数日続けているとモチベーションがどんどん低下していきます。
続けていくと徐々に自分が変わっていくため、マインドフルネスに必要なのは継続する気力。
気力をわかせるため、マインドフルネスを行うことで期待できる効果を4つ紹介します。
・集中力向上
・ストレス解消
・洞察力や直観力の向上
・睡眠の質の向上
集中力向上
人間が集中しているときは、まさしくマインドフルネスの状態です。
集中とは目の前のその事柄のみに目を向け、頭をフル回転させている状態。
そのため、日ごろからマインドフルネスを実行していれば、いざ集中したいときにはすんなりと集中状態になれます。
ストレス解消
マインドフルネスを実行していると、自分を客観視できるようになります。
悩みも無駄に大きくせずに本質が見抜けるようになりますし、体の痛みや疲れ・痺れなどもじっくりと観察して対応できるので、混乱状態になってより痛みを感じることがありません。
いってみれば他人事のように思えるため、いろんなことから受けるストレスが格段に減少します。
たとえばあなたが仕事で大きなプロジェクトを任されたとしましょう。
納期は10日後で、もうあまり時間がありません。
なのにやらなければならないことが山積み!
こんなとき、多くの方はプチパニックの興奮状態となり、頭が混乱してスムーズに動けなくなります。
しかしマインドフルネスで頭の整理をする習慣がついていれば、無駄に慌てません。
10日後の納期から逆算してタスク(やらなければならないこと)を細分化、1つずつきっちりこなしていこうと考えられます。
ただパニックを起こしているときと、感じるストレスは雲泥の差であるはずです。
洞察力や直観力の向上
マインドフルネスを通じ、自分と向き合って心身の状態を観察する癖がつきます。
これは他のことにも応用可能です。
話している相手の状態や態度を観察し、相手の望むことがわかるようになったり、直観が鋭くなったりします。
仕事やプライベートで人間関係を構築するのにとても役立ちますよ。
睡眠の質の向上
マインドフルネスを実行していると、上手にリラックス状態に入っていけるようになります。
その結果、眠ろうとしたときにすっと眠りに入ることができ、睡眠の質が向上します。
睡眠の質が良ければ、多忙であまり寝ていられないというときでも大丈夫。
短い睡眠でもその質が良ければ、ダラダラと途中覚醒を繰り返しつつ浅い夢に苦しむよりも脳の状態は回復しています。
*マインドフルネスを行ううえでの注意・デメリット
ここまで紹介したことを考えると、マインドフルネスは素晴らしいものだと思いますよね。
しかし、物事には何であれメリットがあればデメリットもあります。
マインドフルネスを行ううえでのデメリットは、以下の3つです。
・禅病にかかる
・依存してしまう
・返って不安を強くする
禅病にかかる
禅病とは、マインドフルネスの副作用。
禅の修行を行ううえで稀に起こる幻聴・頭痛・吐き気などの不快な症状です。
いまだ科学的根拠は解明されていません。
症状は人によって違います。
ただし多くの人に共通しているのは、極度の緊張状態からマインドフルネスによって急速にリラックス状態へと切り替わるときに発生していること。
このことから、交感神経から副交感神経へ急に切り替えようとすると偏差が起きるのではないかと考えられています。
一時的な副作用ですが、幻聴や頭痛などは困りものですよね。
そのため以前から自律神経が乱れがちという方は、少しずつマインドフルネスに挑戦していきましょう。
最初は短時間から、徐々に長くしていくというのがおすすめです。
依存してしまう
マインドフルネスを習慣化すると、リラックス状態が長く続きます。
その嬉しい効果も相まって、マインドフルネスに依存してしまう方もたくさんいるのです。
しかしやり過ぎると毒なのはマインドフルネスでも同じこと。
自分の心とばかり向き合っていると、自分だけの世界へ逃げ込むことにつながりますよね。
外の世界とのつながりが面倒くさく感じ、ずっと瞑想をしだすようになるケースもあるようです。
マインドフルネスは、あくまでも一時的な癒しとして活用しましょう。
日に何時間も行うようになったら、日常生活に悪影響が出始めてしまいますよ。
返って不安を強くする
自分のためにとマインドフルネスを始めると、自分自身に向き合ったときについつい深追いしてしまうことがあります。
自分が感じている不安な部分を深く掘ろうとしてしまい、余計に不安を大きくしてしまうのですね。
マインドフルネスでは評価や判断をしてはいけません。
自分が不安に感じていることを、ただ観察するだけです。
自分はそう思っているんだなと感じ、それで終わらせる必要があります。
真面目な人ほど原因を解明しようとして深追いしてしまいますので、注意しなければなりません。
大切なのは判断をしないこと。いい・悪いで判断しようとすると、なぜ? が出てきてしまいます。
その瞬間をただ観察するだけにしましょう。
*マインドフルネスの種類を知って一歩を踏み出そう
マインドフルネスにはいろいろな種類があり、代表的なものだけでも5つあります。
しかしいずれも共通するのは自分と向き合い「今」に集中して観察すること。
他の雑念が思い浮かばない状態で呼吸や体温、風の動きなどに注目しましょう。
そうすることが、脳へ大きな休息を与えます。
いろんな形がありますので、「これならできそう」を発見してトライしてみてください。
1つの方法が合っていなかったからといってガッカリすることはありません。
別のものを試せばいいのです。
やり過ぎには注意が必要ですが、マインドフルネスを日常に取り込められれば大きな効果を得られるはずですよ。
東京マインドフルネスセンターなど、さまざまなプログラムやワークショップを行うところもあります。
お近くの方は参加してみるのも良いですね。
【東京マインドフルネスセンター】
まずは一歩、踏み出してみてくださいね。
*こちらもどうぞ
▼PR
▼PR