コロナ禍でしばらく旅行も封印していましたが、パニック障がいで外出恐怖がある私にとって、それはあまりつらいことではありませんでした。
家にいても堂々としていられるし(全国の引きこもりさんは似たような気持ちだったと思います)、家族も家にいるので不安が少なかったんですね。
とはいえ、パニック障がいを患う前の私は、海外も日本も一人でふらふら行っちゃうような放浪癖がある女だったため、今でも旅と聞くとわくわくします。
旅行にいきたい。
刺激が欲しい(いや、刺激があるとパニック発作が起こるんですが…)。
現在は、自家用車&安定剤の服用&家族の付き添いがあれば旅行には出かけられます。
めっちゃ条件がつきますが、こんな私は周囲の皆様のおかげで毎年家族旅行を楽しんでおります。
さて、今も家の中から出られず縮こまっているパニック障がいの方。
春先はとくに精神状態が不安定になりますし、緊張でどうにもならないというかたもいるでしょう。
だけど旅行にはできたら行きたい、みんなどうやってるの? そんな風に思っている方にむけて、中程度の外出恐怖がある私の体験や気を付けていることを書いていきますね。
*パニック障がいで広場恐怖が強い人におすすめの宿泊施設の選び方
では、宿泊施設の選び方からです。
私は旅行へ行くさい、以下のことを確認してから予約を入れています。
・低層階の客室があるか
・旅館であれば浴場の場所はどこか
・部屋食が出来るか
確認すること①低層階の客室があるか
パニック障がいにかかる人の約8割の人が、広場恐怖症にもかかります。
この恐怖症の弊害は、「逃げられない場所や状況」を徹底的に苦手とすること。
閉所・高所・人が多い場所や状況などに恐怖が生まれます。
そのため宿泊する場所のおすすめは、低層階です。
パニック障がいや広場恐怖症も人によって全然レベルが違いますので一概には言えませんが、私個人の経験では4階で全身過緊張&息も絶え絶え、7階で発作がでました。
4階の部屋では、発作まではいかないけれど常に緊張状態(張り詰めた弓の糸状態。リラックスは到底無理。でも発作までは起きない)。
そして7階では完全にアウトでしたね。
部屋につくやいなやパニック発作が起こり、部屋から逃げ出しました。
通常、ホテルや旅館では眺めがよい高層階は料金が高いですよね。
やはり開放感があって喜ぶ方も多いので、閑散期などで宿泊客が少なければ通常料金でも上の部屋に変えてくれることがあります。
だけど、私は高層階が苦手。
高いところは逃げられない状況を生み出すため、発作が起こりやすくなります。
しかし多くの宿泊施設では1階と2階はフロント・ロビー・土産物屋とレストラン施設などが入りますので、客室は低い階でも3階から。
そのため私は、宿泊前には予定しているホテルや旅館の内部を調べて最も低層階の客室が何階かを確認し、そこにしてもらえないかと電話をします。
当然宿泊予定の3カ月程度前ですよ。
直前では無理になる可能性が高いので。
早めであれば、低層階の客室は空いていることが多いですね。
そして1階を使うのは足の悪い年配の方も多いので、高所じゃないうえに静かな環境(あまり騒がない人が多い)で、騒音によるパニックも起こりにくいです。
確認すること②旅館であれば浴場の場所はどこか
温泉旅館であれば、お風呂も入りたいですよね。
お風呂は裸になる(=なかなか逃げられない)ため、やはり恐怖がわきやすいです。
だけどリラックス空間なので、温泉は大丈夫とか、入ってしまえば平気という人も多いですね。
私は恐怖はあるんですが、なんとしても入りたいタイプ。
ただし、温泉が建物の上部分、高所にあれば入れません。
エレベーター+裸になるで、これはもう精神にとって相当ハードな刺激……。
閉所も高所も人の目も、苦手なものが全部あります。
というわけで、低層階に客室があるかを調べるときに温泉の場所も調べます。
これが低層階であれば、十分楽しめる可能性が高いので。
確認すること③部屋食が出来るか
これは令和3年現在かなり少なくなっていますが、かつては旅館といえば部屋食でしたよね。
平成20年くらいまでは、多かったと思います。
宿泊する部屋に従業員さんが食事を持ってきてくれて、給仕してくれるというやり方です。
ゆっくりできるうえに身内だけなので、気持ちよく酔っぱらうこともできますよね。
その部屋食ができる宿泊施設、少なくはなっていますが、古い旅館であればまだやっているところもあります。
そういうところだと家族だけなのでパニック障がいの人も落ち着いて食事が楽しめますよ。
体調が悪くても横で寝てられますし、発作が起こっても周囲に人がいないため家族も対処しやすいです。
部屋食が無理でも、レストランの半個室もしくは食事会場で個室にわかれるというタイプであれば、同じように緊張しなくて済みます。
探してみてくださいね。
*安心グッズを持っていく! 特に睡眠の質は絶対に確保
低層階の客室がある旅館やホテルを発見し、無事に部屋食にもありつけたとします。
その後、どれだけしっかりとした睡眠がとれるかが翌日の精神状態を決定づけます。
私はいつもそのために、普段自宅で眠る状況をできるだけ再現しています。
具体的には次のものですね。
旅行に持参します。
・枕
・パジャマ
・マウスピース
・点鼻薬
・お香やアロマキャンドル
枕は以前ブログでも紹介しましたが、整体師さんが開発された枕を愛用しています。
首のところにフィットするので、常に緊張状態で肩も上がりっぱなしのパニック障がい患者の首&肩コリをマシにしてくれます。
これを自宅から持参。
▼PR 整体師が作った枕
そして食いしばりがひどいので、マウスピースですね。
旅先ではお酒もいただくので、緊張は取れて眠気は来ますが睡眠の質は低下してしまいます。
ということは食いしばりもひどくなるので、マウスピースで歯と歯茎、舌を守ります。
過労で倒れてパニック障がいになったとき、全身がいろいろと壊れていたので、副鼻腔炎になりました。
それ以来、冷えると鼻が詰まって鼻呼吸ができなくなってしまったんですね。
鼻で息ができないと睡眠中に口呼吸をし、口が乾いて起きたり睡眠不足になったりします。
それを避けるために秋から春にかけては睡眠前の点鼻薬は必需品……。
これも持参します。
そしてパジャマとお香やアロマキャンドル。
これらはいつも使っているものを使うことで、頭を「自宅にいるようだ」と思わせるためです。
脳みそが安心してくれると翌朝までぐっすり。
起きて一瞬「あれ? ここはどこ?」と思えたら、ちゃんと眠れていたなと思えます。
*ホテル7階の部屋から逃げた私の経験
パニック障がいになってからも、子供らの夏休みには頑張って家族旅行にいっていました。
一度どうしても無理な夏がありましたが(ぶり返しが起きたとき)、あとはコテージの一棟貸やキャンプ形式にしたりして、発作が起こりやすくなる「高所」「閉所」「人が多いところ」を避けていたんですね。
しかし、上の子の卒業旅行を企画したとき、子供が言ったんです。
「一度ちゃんとしたホテルに泊まってみたい」って。
上の子が4歳のときに母である私がパニック障がいを発症していますので、我が家の子どもたちはホテル(リゾートやシティホテル)に泊まった経験がありませんでした。
先に述べたようにホテルは基本的に客室が高層で、しかも部屋が狭いですよね。
食事場所はレストランのみだし、浴場やスパがあれば決まって高層階にあります。
「うぎゃあ、それ私無理だわ」ってまず思い浮かびました。
だけど子供の望はかなえてやりたい。
ううーん"(-""-)"
そこで、元気なときに何度も行ったことがあるホテルなら、楽しかったときの記憶もあるし大丈夫かもしれないと、トライすることにしたんです。
徳島のリゾートホテルですね。
過去10代から30代までの間に4回ほど泊まったことがあるので、ここに決めました。
たくさんの経験の中から考えても部屋は広い方でしたし、施設の構造をすでに知っている。
つまり「逃げ方」がわかるわけで、ならマシかも、と思ったんです。
だけど、無理でした。
通されたのは、紺碧の海と水平線が見られる眺めのよい7階の部屋。
まず、エレベーターからダメでした。
乗る時間が長い。
しかし家族がいたのでざわざわしているけど何とか保っている、というレベルで移動。
まだエレベーター前の部屋ならそれほど怖くなかったのかもしれませんが、残念なことに長い廊下の端の方の部屋。
高所なので廊下にある窓も開かない嵌め殺しになっていますし、小さいんです。
そして部屋に入って…「我、天下を睥睨す」状態の高所からの眺めが視界に入った途端、パニック発作を起こしました。
全身が震えだして目が泳ぎ、過呼吸になって喉が音を立てます。
今ここから逃げ出すためにすべきことを頭の中に網羅。
まず長い廊下にでなきゃならない。
それからエレベーターまで走るけど、2機しかないので今は7階におらず、すぐに乗れないかもしれない。
飛び乗ったとしてエレベーターの中で吐かずにいられるかな。
そこから外へ出るにはドアを2つ通って駐車場の方へ――――――うわ、ダメだ! 絶対もたないわ!!
結局私が泣きつつよろめきながらダッシュで部屋を出たところで夫が追いつき、父が子供らをみてくれている間、私は母と夫と逃避。
大丈夫大丈夫と口の中で繰り返しながらエレベーターで1階まで降り、ホテルの外へ走り出たところでやっと息ができました。
すごく怖かったです。
今でもまだ思いだせます。
だけど子供らはせっかく喜んでいるし、春休みの繁忙期でホテルも他の部屋は余っていないかもしれない。
大体すでにチェックインの時間で、宿泊客はどんどん到着しています。
ときは春休みの真ん中。
だから、私は車で寝ようと決心したんですね。
自分の家の車なら大丈夫なので。
だけど家族がホテルに掛け合ってくれて、たまたまキャンセルが出たらしい3階の部屋へ変更ができたんです。
おかげ様で、何とか部屋で眠れました。
3階もドキドキはしましたが、まだ非常階段を使えばすぐに外へ出られる! と思えたんですね。
さらに実家がマンションの3階であること、家族がいたことで大丈夫だったのでしょう。
子供には申し訳なくて謝りましたが(高層階であることで子供は喜んでテンションが高かったので)、ホテルは楽しめたから大丈夫~!! と笑ってくれて一安心。
そのとき以来、やはり慣れたホテルでも高層階は無理なのだとわかり、できるだけホテルではなく旅館、低層階で部屋食があるところを探すようにしています。
*できることをしていれば旅行も案外大丈夫!
私は一度きたぶり返しが強烈で、単独での外出がままならなくなってしまったほどの広場恐怖症があります。
ですから私より症状はマシという方は、いいなと思ったことを参考にしてもらえれば嬉しいです。
同じレベルだという方がいらっしゃれば、ぜひ「宿の客室確認」「風呂場確認」「食事場確認」はすることをおすすめします。
ネットの旅行サイトで予約したあと宿泊施設へ電話をかける、この流れで大丈夫。
面倒ですし、パニック障がいの方は電話も緊張してしんどいですが、これをしておくかどうかで宿泊時の自分の精神状態が大きく変わります。
せっかくの旅行ですから、家族や友人と楽しみたいですよね。
無駄に心配もかけたくないでしょう。
そのためにできることをしておくのです。
宿泊施設を楽しめ夜もしっかりと眠れれば、日中は安定剤様の威力でなんとでもなります。
ぜひ、心の洗濯と言われる旅行を楽しんでもらいたいなと思います。
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