パニック障がいは100人に1人の割合でなる、わりとメジャーな病気です。
最近は芸能界で活躍しているかたが「実はパニック障がいなんです」と公開することが増え、一般的な認知度が高くなってきましたね。
これはパニック障がいを持つ人々にとっては、大変嬉しいことです。
人気と知名度があるかたが公表されることで、どんな病気かと興味を持って調べる人が増えるからですね。
誰でもなる可能性があるため、知識を少しでも持っていてほしいと思います。
ここでは病院でパニック障がいと診断される症状の項目を紹介しますね。
複数の項目が当てはまる人は、かなり心身が疲れていると思われます。
できるだけ早めに病院を受診して、自分の心身を守ってください。
*パニック障がいの症状とは? 4つ以上チェックがつけば病院へ!
パニック障がいとは、ちょっとした刺激で不安や恐怖に襲われパニック発作を起こしてしまう病気。
また発作が起こるかもと不安を感じることで、日常生活に甚大な影響がでます。
不安や恐怖があまりにも強いため、発作中は「このまま死んでしまうのではないか」と考えるのですね。
文字通り大パニックを起こし、体に大きな影響が出ます。
何が不安や恐怖の対象となるかは人によって違いますが、以下が一般的な症状です。
- 動悸や心拍数の増加
- 発汗
- 全身の震え
- 息切れ感や息苦しさ
- 胸痛や不快感
- 吐き気や腹部の不快感
- 悪寒や熱感
- めまい
- 現実喪失感
- コントロールが出来ない、もしくは気が狂うかもしれないという恐怖
- 死ぬことへの恐怖
- 異常感覚(感覚麻痺やうずき)
- 窒息感
この内4つ以上を感じることがあれば、病院でパニック障害だと診断されます。
参考:表2 パニック発作の診断基準|メンタルヘルス|厚生労働省
全部を感じる人もいますし、いくつかだけの人もいます。
私の場合は発汗と吐き気以外の全部ですね。
何であっても嫌だし不快ですが、なんつったってめまい以下の全部は地獄です。
症状で強烈なのが、現実喪失感でしょうかね。
乖離(かいり)状態といいますが「自分」が肉体からす~っと離れて、ちょっと離れたところから見ているような感覚です。
人と話していたり、歩いていたりするときに急にそのような状態になると、「自分」は二度とあの体に戻れないのではないか?! と巨大な恐怖が襲います。
今話しているのは紛れもなく自分、私なのですが、他人が話しているように感じるんですよね。
まるで他人事のように「話している自分」を認識しています。
ココロとカラダが分離した、そう感じたものでした。
上の項目で4つ以上あてはまるものがあれば、我慢せずに精神科や心療内科を受診しましょう。
どちらを受診する? 精神科と心療内科の違い
いざ病院へ行こう! と思っても、どこで診てもらえばいいの? と悩むかたも多いでしょう。
パニック障がいや不安障がい、適応障がいなどを診断するのは精神科と心療内科です。
違いは以下の通り。
・精神科・・・心の病気を診る場所
・心療内科・・・何かがきっかけで精神的に負担を感じ、異常が出始めた体を診る内科
たとえば、電車に乗って会社に行こうとすると吐き気や震えが出てホームへ上がれないという人は、原因は会社や通勤電車、行先での人間関係などにあります。
吐き気や震えといった不快症状を改善するためには、心療内科です。
そして幻聴や幻覚が頻発したり死にたくなったりする、とにかく疲れて涙が出るけれど原因がわからないというときには精神科。
どちらか自分でもはっきりしないというときは、どちらでも大丈夫ですよ。
近くて行きやすいところへ行ってみてください。
*困難到来! パニック障がいの3大症状と広場恐怖症について
ではパニック障がいを持つ人が苦しんでいる症状には、どんなものがあるでしょうか。
3大症状と呼ばれるものは 次のとおりです。
- パニック発作・・・動悸や窒息感、震えやめまいに襲われる。10分程度で治まる
- 予期不安・・・また発作が起こるかもという不安。心がざわざわするなどと表現される
- 広場恐怖・・・人が多い場所・公共機関・混雑・狭い場所・高い場所などを苦手とし、以前発作が起こった場所に行けなくなる
【パニック発作】
パニック発作ではちょっとした不安や刺激がもとになり、急激に血圧が上昇。
その結果、眩暈・動悸・発汗・震えなどが同時多発的に起こり、自分がコントロールできなくなって動けなくなります。
私はどうなってしまったんだ!? と大混乱に陥り、救急車を呼ぶ人も少なくありません。
しかし病院へつくころには症状は治まり、体を調べてもどこも悪くない(そんな急激な発作を起こすほどには悪い箇所は見当たらない)という結果になることが多いのですね。
【予期不安】
予期不安は、パニック発作が起きるのではないかと情緒不安定になることです。
トリガーになるような場所や人、状況の中にいると心が落ち着かずに精神がざわざわし、居ても立ってもいられない状態になります。
ここで頓服を飲めば発作を抑えることが可能なため、基本的な対処方法は頓服の抗不安剤を持ち歩くことです。
【広場恐怖症】
広場恐怖症は、パニック障がいを持つ方の8割が発症すると言われる恐怖症の一種です。
広場恐怖症については以下の記事で詳細を書いているので、よろしければどうぞ。
発作や予期不安ももちろん困るのですが、社会参加を大きく阻むものがこの広場恐怖です。
次から簡単に説明しますね。
行動範囲がどんどん狭まる! 広場恐怖はなぜ起こる?
広場恐怖が起こる理由は、「逃げられないかもしれない」と考えて不安になるからです。
脳は以前パニック発作を起こした状況を覚えており、似たようなシチュエーションに遭遇すると「発作が起こるかもしれない」と考えます。
発作が起こると、完全に自我のコントロール能力を失ってしまいますが、それは動物としてとても恐ろしいこと。
何かが起きても自分では対処できない=死に直結する、わけです。
つまり、パニック発作を怖がるあまりに行動範囲が著しく狭くなってしまうのですね。
広場恐怖は「広場」が怖いわけではなく、公共の場所など不特定多数の人が多く集まるような場所に行くと沸き起こる恐怖心を指します。
たとえば、「すぐに逃げられない場所」や「発作が起こったら恥ずかしいと思う場所」、そして「誰にも助けてもらえないだろうと思う場所」。
具体的には銀行や病院、学校、市役所などの公的な施設、美容院や観光施設などの閉所もしくは高所(つまり、高層ホテルやビルもダメ)に不安を感じる人が多いでしょう。
公共機関もかなり難しいです。
電車、特に急行や特急などに乗ってしまうと、怖くなっても途中で降りることができず「逃げる」ことができません。
不安が強くでるため、多くのパニック障がいを持つ人が電車に乗る場合は各駅停車を好みます。
以前は行くことができたお店に入れない。
何とも思わなかった電車が怖い。
信号待ちでじっとしていられない。
友だちや親との会話でも動悸が激しくなる。
リッチな気分になれていたホテルの高層階の部屋には泊まれなくなります。
患者の世界をあっという間に縮めてしまうのが、広場恐怖です。
広場恐怖をこじらせると単独で外出できなくなる
広場恐怖症を改善するには、行動療法という治療をすることが近道とされています。
安定剤などの薬を飲み、専門家や医者についてもらって恐怖を感じる場所へでかけ、発作が起きないという事実を脳に上書きする治療法です。
要するに、「ここは怖くない」という思い込みを持たせるわけですね。
ただし残念なことに日本ではこの療法を行っている病院は少なく、自分で何とかしている人が大半です。
そして私のように自宅で仕事をしている人は、行動療法をする理由がなく、ダラダラと毎日を家で過ごしてしまいがち。
すると脳へ上書きがされないので、広場恐怖は改善されないどころかむしろ悪化するケースがあります。
広場恐怖が酷くなると、自宅でトイレにも行けなくなってしまうのです。
自分が安心できるスペースがどんどん小さくなり、最後には部屋の布団の中のみとなってしまう人も珍しくありません。
そうなれば同居する家族も大変。
一人暮らしであれば精神病院への入院が必要です。
そのため、広場恐怖症がある人でできれば外へ出かけることが大切。
少なくとも恐怖対象が「家の外」であれば、「家の中」では普通に過ごせ、生きていけます。
*慢性化する前に治療を開始すれば早期に寛解できる
パニック障がいは早期発見早期治療(対応)で、1年以内に寛解すると言われている病気です。
ただし一度慢性化してしまうと、改善が難しいケースが多くなります。
特にうつ病などを併発してしまうと、治療が複雑になり投薬期間も長引きます。
前出した症状の項目に4つ以上当てはまった方は、まずは心療内科か精神科を受診してください。
早めの対処が何より大切。
心療内科や精神科に自分が偏見を持っていたことに気付いてなかなか受診できず、うろたえる人もいます。
しかし、自分の心身を守るためには行動しなければなりません。
カウンセリングや投薬、行動療法の開始など、早めの対応がのちの自分を幸せにしますよ。
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